文節関係解析木(文節木)について : 解釈記録のための骨組み
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概要
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「文節」という言語単位は,もともと橋本進吉の文法理論で使われた用語だが,戦後の国語科教育で一貫して使用されており,非常に広く知られている。よく知られているというだけでなく,単位に区切る際に比較的曖昧性が少ないことも,文節の利点である。ここでは,文節ノード間をリンクで互いに関係づけることによって,日本語の文構造を視覚的に表示する,比較的簡便な方法を新しく提案する。この表示方法は「文節関係解析木」,略して「文節木」と呼ばれる。文節木は,文の細かな構造をあまり精密には表示できないため,統語論や意味論の込み入った議論には役に立たないかもしれない。しかし,インフォーマルに語られることの多い語用論的解釈を,少しでもフォーマルに記録するのにはかなり役立つ。文節木は,自分の解釈に応じた新しいノードを付け加えることで,「解釈記録形式」と呼ばれる拡張表現へと発展させることができるからである。Bunsetsu (i.e. phrase) is the most well-known language unit in Japan, which was coinded in Shinkichi Hashimoto's grammar theory and has been used in the school education of Japanese language ever since 1940's. The advantage of bunsetsu is not only its public character but also its property of less-ambiguity in marking off than other rivals'. In this paper, I suggest a new easy visual way of representation for Japanese sentence structure, which includes bunsetsu-nodes and relational links among them. I call this 'Phrase-relation Analyzing Tree', in short, 'Phrase Tree'-Bunsetsugi. A Phrase Tree can not represent the full-detailed structure of a sentence, so they are not helpful for knotty argument in syntax and semantics. But they are very useful in making up the fairly formal recordings of pragmatic interpretion which is usually expressed in informal style. Phrase Trees can develop to the expanded diagrams which I call 'Interpretation Recording Forms' by adding new nodes according to one's interpretation.
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