蚊類幼虫の塩分耐性に関する研究 II : 純水による体液の稀釈

概要

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塩分調節作用の生理機構を解明する手がかりを得るため,異なった塩分濃度で累代飼育中のトウゴウヤブカAedes togoiの6種の系統(40%,100%,150%,200%,250%海水系および淡水系)の幼虫(4令中期)を,蒸留水に移し,体液中のNaとClの濃度変化を,原子炉中性子による放射化分析法で測定した。トウゴウヤブカの6種の系統の幼虫についてみると,たとえば150%,200%,250%海水系の幼虫のように,濃い濃度の海水で累代飼育された系統であるほど,体液中のNaとClの濃度か高い傾向がみとめられる(図1)。これらの系統の幼虫を蒸留水(23℃)に移し,時間を追って体液のうすまりかたを比較すると,トウゴウヤブカの系統により,塩分調節機能に,かなりの差がみとめられる。そして,特に濃い濃度の海水で累代飼育された系統であるほど,図1の結果とは逆に,体液中のNa,Clの濃度の低下が顕著となる(図2,3,4)。蒸留水の水温(4°,9°,16°,23℃)と,幼虫の体液中のNa,Clの濃度変化の関係についてみると,幼虫を入れた蒸留水の水温が低いほど,体液中のNaとClの濃度がうすまりにくいことがあきらかとなった(図5)。
宝塚造形芸術大学の論文
1989-05-15