<研究論文>チョーサーの「悲劇」について : 「修道僧の話」と『トロイルスとクリセイデ』を中心に
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
チョーサーの悲劇は幸福な人が転落するという簡単な基準に基づいている。その転落で活躍するのが気まぐれで知られる中世の運命の女神である。17の短い話から成る「修道僧の話」の中で縦横無尽に活躍する彼女は諸行無常の象徴的存在であると同時に人間に対する警告と忍従の教訓的存在ともなっている。『トロイルスとクリセイデ』というスケールの大きい悲劇は,ボエティウスの教えを含む悲劇の根本である不測の事態,不可逆性というものを我々に痛感させるように描かれた作品である。本稿はこれらの作品に描かれた悲劇の特質を探ったものである。
- 宝塚造形芸術大学の論文
- 1997-03-31
著者
関連論文
- チョーサーの詩における「壁」のメタファー
- 『善女列伝』に見られる女性の「愛」について II
- 『善女列伝』に見られる女性の「愛」について I
- Troilus and Criseydeにおける「夜」と「夜明け」
- チョーサーの「悲劇」について : 「修道僧の話」と『トロイルスとクリセイデ』を中心に
- チョーサーのファッション描写について
- Chaucerの「愛の庭園」について
- Chaucerの'pathos'について : 「女子修道院長の話」を中心として