『善女列伝』に見られる女性の「愛」について I
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概要
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『善女列伝』は,古の著名な女性達が登場する,一種の伝記的な作品である。プロローグで,「女性の愛の誠」と「男性の不実」の話をすることが,テーマとして決められている。おおむねそれにそった形で,特に女性の愛の悲劇的な過程が描かれている。批評家は,その愛について,アイロニー,パロディー,サタイヤ,と否定的に解釈したり,逆に,称賛と肯定的に解釈する人もいる。本論では,もう一度この作品に登場する女性の愛の特質を探り,結局,チョーサーの窮極的なねらいは,読者もしくは聴衆の想像力の中にカリタス(Caritas)の心を植えつけ,人間の心のバランスを求めたのであろう,ということを論証するものである。
- 1987-03-25
著者
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