水稲の栽培時期の早晩と胚乳内澱粉の粘度との関係

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水稲の栽培時期の早晩と, 収穫された玄米の胚乳内澱粉の粘度との関係を検討した。実験は1954及び1956年の両年度に粳稲2品種と糯稲3品種とを供試して行われた。粘度測定にはOstward粘度計を用いた。主な実験結果は次の通りである。i) 糯品種の胚乳内澱粉の比粘度は粳品種のそれにくらべて高く, また品種間の差異として, 所謂日本型に属する品種では印度型品種よりも例外なく高い値を示した。ii) 胚乳内澱粉の比粘度は, 当地方の慣行播種期(5月中旬)に近く播種された区に於て, 全品種共常に最高の値を示した。それよりも早く, また晩くに栽培されたものでは低くなり特に過度に晩播晩植した場合にはこの傾向が顯著である。iii) 胚乳内澱粉の比粘度と出穗後成熟に至る期間の積算温度との間には負の相関々係があり, 特に日本型の品種では明かに有意の相関係数を示す。また同じ期間の日温度較差の平均値と比粘度との間にも負の相関々係の存在がうかゞわれるが, 1品種を除いては相関係数は有意ではない。iv) これらの結果からして, 胚乳内澱粉の粘度は出穗後の種々な温度条件によつてかなり左右され, またごく一般的にいうならば, 他の研究者達も述べているように, この期間の気候条件が米粒中の炭水化物の形成や集積に複雑な関連を示すことを裏づけるものと思われる。
京都府立大学の論文
1957-09-01

水稲の栽培時期の早晩と胚乳内澱粉の粘度との関係

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