麦類の移植適応性について : (I) 移植麦の生態に関する一観察

概要

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大麦(品種・三徳), 〓麦(品種・紫〓)及び小麦(品種・伊賀筑後)を供試して, 各麦の, とくに早生種の移植適応性を檢討するために, まず移植時期と移植密度を異にした場合の三者間の生態的諸反応を比較した。(1) 小麦は, 移植栽培によつて, 移植の時期及び密度にかゝわらず, 草丈の減少をみるが, 大麦と〓麦では, 移植によつて, むしろやゝ増大する傾向にある。(2) 各麦とも, 移植栽培によつて, 茎数及び穗数を減少する。その程度は, 大・小麦で著しく〓麦はそれ程でない。(3) 各麦とも, 移植栽培によつて, 有効茎%, 穗長及び一穗重を, がいして増大さす。しかして, 各麦の間には増大程度の差異が認められ, 小麦において, いずれも最小である。(4) 大麦と〓麦における穗長, 及び〓麦の有効茎%の, 移植による増加は, 他の実験項目とくらべてとくに著しい。(5) 直播における疎・密植が, 以上の諸形質に与える影響は, 疎植において密植よりも大なる数値を示すといえる。移植においては, 両者間の差に区々な傾向を示すが, がいして直播の場合と同一傾向を示すものゝごとくである。
京都府立大学の論文
1952-03-01