シェーグレン症候群の口唇腺病理組織所見と耳下腺造影所見の不一致例の検討

概要

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シェーグレン症候群(SS)の診断において, 口唇の小唾液腺病理組織所見と唾液腺造影所見は, 診断基準上, 重要な位置を占めている。しかし, 日常の臨床において小唾液腺病理組織所見と唾液腺造影所見が必ずしも一致せず, 診断に苦慮する症例も少なくない。そこで我々は, 口唇腺病理組織所見と耳下腺造影所見の不一致例に注目し, その病態像を明かにすることを目的にSS78例を対象に, 両検査結果についての関連性を検討した。その結果, 耳下腺造影でglobular陰影を示す48例中40例(8313%)は, 口唇腺病理組織所見で導管周囲に炎症性細胞のfocusを認めたのに対し, 残りの8例(16.7%)は, focusを認めなかった。この両検査結果の不一致例の口唇腺病理組織像は, 1.瀰漫性の炎症性細胞浸潤, 2.著明な腺房の萎縮・消失, 腺房間質や導管周囲の線維化, 脂肪組織の増生, 3.多数の拡張導管などの所見が特徴的に認められた。これに対し耳下腺造影像は淡いglobularかglobularにpunctateの混在する陰影であった。したがって口唇腺病理組織像はactiveな炎症を経た瘢痕性変化と思われる像であるのに対し, 耳下腺造影像はsialectasisの初期から中期にあたるstageと思われた。以上の結果から口唇腺は耳下腺より早く炎症性変化が起きている可能性が推測され, 口唇腺病理組織学的検査はSSの早期診断に有用であるとともに, 炎症性細胞のfocusのみならず, 腺房の破壊程度も考慮することが診断上重要と思われた。

シェーグレン症候群の口唇腺病理組織所見と耳下腺造影所見の不一致例の検討

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