掌蹠膿疱症と歯科処置
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概要
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掌蹄膿庖症は, 手掌, 足競に無菌性の膿庖を多発し, 再発をくり返して慢性の経過をとる難治性の皮膚疾患である。本症の病因については, 病巣感染説, 金属アレルギー説などがあるが解明されていない。今回我々は, 口腔内疾患と関連があると思われる掌蹄膿庖症の2症例を経験した。症例1は45才女性で, 初診時, 両側足競に多発性の膿庖と手掌に水泡形成が認められ, 口腔内には〓にC_2〜C_4があり, 全顎にわたり辺縁性歯周炎の症状を呈していた。処置として, 〓を抜歯し, 全顎の歯石除去と〓のポケット掻爬術を行った。1ヵ月後両側の足蹄部の膿庖は減少し, 手掌の水泡は消退した。しかし, 〓M.Cr.を装着後軽度の膿庖形成が認められたため金属パッチテストを行ったが強陽性反応は認められず, 現在は足競に紅斑を残すのみである。症例2は48才男性で, 初診時, 両側掌蹄部に広範囲に膿庖が散在し, 口腔内は, 〓にC_2〜C_4があり, 全顎にわたり辺縁性歯周炎の症状を呈していた。処置としては, 〓歯石除去, ポケット掻爬術および厄の抜歯を行った。その後数日を経て著明に膿庖の消退傾向が認められ, 現在は掌蹄部の一部に紅斑鱗屑状態を呈するのみとなった。2症例において歯科処置後, 掌蹄部の膿庖の消退傾向, 緩解期の延長, 膿庖形成部位の範囲の縮少傾向が認められ, 歯性病巣感染を疑われる掌蹄膿庖症に対しては, 歯科的精査と積極的な歯科処置が必要と思われた。
- 東北大学の論文
- 1982-06-30
著者
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