ハンバッハ祭について : 「ああ,シルダ,我が祖国よ。」(ハイネ)
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概要
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1832年5月27日,バイエルン王国に属していたプファルツ地方のハンバッハの古城で,ひとつの祝祭が開かれた。それは古城の名前にちなんで,ハンバッハ祭(das Hambacher Fest)と呼ばれている。この祝祭は「ドイツ最初の大規模な政治集会」であり,「ヴァルトプルク祭とフランクフルト議会」,すなわち1817年と1848年を結ぶ重要な政治的出来事である。ハンバッハ祭は文学史的にも,べルネ(Ludwig Borne)やハイネ(Heinrich Heine)を通して若いドイツとつながりがある。またハンバッハ祭の中心人物の多くは,1848年の革命の際にも登場する。当時この祝祭が与えた影響は小さくなかった。たとえばデンマーク領となっていたホルシュタイン公国の寒村で書記をしていた少年ヘッベル(Friedrich Hebbel 1813-63)の政治詩のいくつかは,その頃に成立したものである。それらはハンバッハ祭をめぐる一連の出来事の直接的影響を示しているのである。しかしこのように重要な出来事でありながら,この祝祭について知られていることは多いとは言い難い。そこで以下においては,ハンバッハ祭の史実を明らかにし,ついで,この祝祭に対するべルネとハイネの対照的な態度について考察することとする。
- 山形大学の論文
- 1987-01-20
著者
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