矮小硬殻卵の連続産出鶏における解剖的観察(畜産学科)

概要

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産卵鶏において卵内に卵白片あるいは卵黄小片を有する矮小硬殻卵を連続的に産出する事例が観察された。今回,その産出原因を究明するため同産出鶏32羽を屠殺し,剖検した。また,産出された136個の矮小硬殻卵について,形状並びにその核成分について調べた。剖検によると,腹腔内は排卵卵子から漏出した卵黄液で満たされ,漏出後の卵黄膜の数は産出された矮小硬殼卵の数と一致することから,連続的な矮小硬殼卵の産出は排卵と密接に関連した事象であることが推察された。生殖器官のうち卵巣は全例共正常であったが,逆に卵管は全例に形態的異常を認めた。すなわち,卵管膨大部前部の卵管壁においては腫瘍や瘢痕組織が観察され,卵管漏斗部の卵管靱帯には水腫の付着が認められた。腫瘍並びに瘢痕組織の存在する部位は極めて厚く,硬化しており,卵管腔が狭くなっていた。水腫はいずれの事例でも排卵直前には卵管へ取り込まれ,卵管口を封鎖していた。これら卵管における異常性によって,排卵卵子は卵管全長を通過することができず,卵形成の核にもなり得ず,その代り取り込みなどの刺激によって形成された卵白が核になったものと思われた。矮小硬殻卵の殆どが長球状を呈し,一部は円柱状であった。核成分は,長球状のものでは殆どが球状の卵黄小片であったのに対し,円柱状では細長い糸状の卵白であった。このことから核のサイズが卵の大きさに,核の形状が卵の形状に関連すると思われた。
1987-12-05

矮小硬殻卵の連続産出鶏における解剖的観察(畜産学科)

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