沖縄における「亜熱帯農業」の展開方向
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概要
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一般的に, 日本本土の農業を基準にして沖縄の農業がそれからどれ程ずれているかを見ようとする考え方はかなり強いものがある。これは沖縄農業を温帯農業の「はずれ部分」としてだけ見るいわば単眼的な捉え方と言えよう。しかし, 沖縄での「亜熱帯農業」の確立を考える場合には, 北の温帯農業の原理と南の熱帯農業の原理を併せて複眼的に捉えることが基本的に必要である。沖縄農業の近代化が進むにつれて伝統的な複合経営である「甘蔗畑作経営」が, したがってその「防災営農」の技術体系が崩壊し農業経営の単一化は確実に進んできている。つまり, さとうきびモノカルチュアに象徴されるように畜産を含めた他のどの作目もそれぞれが単一経営の技術体系に変わってきている。だから, 近代化技術としての機械化, 施設化, 化学化は農業経営の規模拡大と資本集約化によって経済的な効率化を進めたが, 複合経営の技術体系化による生産力構造の持続的な安定化には結びついてきていない。かつて近世の琉球農業では技術的には地域の自然条件にみあった足腰の強い安定した「家族複合経営」があった。従って今一度, 本来の複合経営の理念に立ち戻って, 今日の発達した科学技術でもって改めて自然と人間のかかわりとして農業のあり方をとらえ直すことによって, 地域農業を再編していくことが沖縄における「亜熱帯農業」確立の原点と言える。
- 琉球大学の論文
- 1997-12-01
著者
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