<論文>宗教心理複合運動における医療化の問題 : 白光真宏会の場合
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概要
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現代日本においては,宗教と心理療法の相互乗り入れが進展している。例えば,アルコホリクス・アノニマスや断酒会や12ステップを用いる各種の自助グループなどである。その際に医療化の行き過ぎや専門家の優越の弊害が指摘されることがある。精神医学の専門家が患者や信者に過剰な権力を行使する危険性がある,という指摘である。 1970年代以降に教勢を拡大した白光真宏会は,ポジティヴ・シンキングを重視する新宗教である。白光真宏会の教祖はかつて生長の家の講師であったが,生長の家の教義を部分的に批判して分派を創設した。その際,生長の家の教義の中の「心の法則論」を徹底的に批判した。白光真宏会の教祖による「心の法則論」批判には,現代宗教における医療化や「専門家の優越」批判の先駆けとしての側面があり,そういった意味では,参加者に対する拘束のゆるやかさとも相まって,白光真宏会には現代日本のセルフヘルプ運動の先駆形としての側面がある。
- 愛知学院大学の論文
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