<論文>現代救済宗教と共依存の病理 : GLA系諸教団の事例研究より
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
この論文の目的は,哲学者のベイトソンや社会学者のギデンズが,先進資本主義社会全域で目立たない形で拡がる共依存概念に関して提起した理論的問題に対して,日本の斬新宗教であるGLA系論教団がいかなる日本的で現実的な解決策を提示しているかを分析することにある。1970年代以降の日本社会における宗教変動には,「新宗教からセルフヘルプヘ」という流れが存在するが,心理療法関係者の運営するセルフヘルプと異なり,GLA系諸教団の内観サークルは,明確な回復の形を提示している。第1章では,共依存概念について簡単に説明する。第2章では,現代日本の内観サークル運動の全体像とその一種ともみなしうる斬新宗教のGLA系諸教団について概観し,筆者の調査対象である「エルランティの光」について説明する。第3章では,ベイトソンが示唆した「近代社会そのものの共依存性」に対するこのグループの解決策を見る。第4章では,ギデンズが指摘した「後期近代社会における再帰的自己形成とそのジレンマ」に対するこのグループの解決策を見る。最後に弟5章では,このグループの提示する共依存からの回復の形における「反近代と近代の強化の併存」を分析する。 GLA系諸教団は,反近代的要素と近代を強化した要素を巧妙に組み合わせて共依存者に対して現代の日本社会における明確な回復の形を提示している。現世解説的宗軟性と組み合わされた「神と自分の間に他人は入れない」というスタイルは,反近代的な要素である。内向的宗軟性と組み合わされた「心の明るさ」を基準として日々「心を見る」仕事を怠らず「心を管理する」という発想は,近代を強化した要素である。
- 愛知学院大学の論文
著者
関連論文
- プロミス・キーパーズにおける保守的セクシュアリティ観について
- 若者の宗教倫理のセラピー化について
- 天理教教祖と「暴力」の問題系
- 大衆宗教と男らしさ--出口王仁三郎の言説から (マスキュリニティ/男性性の歴史) -- (近代日本においてマスキュリニティ/男性性はどう語られたか)
- 大本聖師のトランスジェンダー志向を再考する
- 殺人はなぜ悪なのか : 学生アンケートの結果分析より
- 宗教心理複合運動における日本的母性の位相 : GLA系諸教団の事例研究より
- 内観サークル運動における『見立て話』の位相 : GLA系諸教団の事例研究より
- 企画の狙い(「民衆宗教」研究の新展開-新しい「階級」の時代の宗教社会学-,テーマセッション5,2008年度学術大会・テーマセッション記録)
- お洒落な侠気でいこう
- 現代日本の大衆文化における「女性の男性性」 : オルタナティヴな男性性のありか
- 「内観サークル系宗教運動」における《脱男性性》ディスクールについて
- 内観サークル運動における男性性の諸問題
- AC・異邦人・ブーバー--「見捨てられ」感覚をめぐって
- 白光真宏会とジェンダー : 規範からの自由について
- 心理技術的な明るさの追求について : 競争社会との関連において
- 宗教心理複合運動における医療化の問題 : 白光真宏会の場合
- 内観サークル運動における「交わり」と「距たり」をめぐって : ブーバー哲学との関連において
- 現代救済宗教と共依存の病理 : GLA系諸教団の事例研究より
- 大衆版運命愛としての選択輪廻観
- はじめに(「民衆宗教」研究の新展開(2)-「民衆宗教」とフェミニズムの対話-,テーマセッション4,2009年度学術大会・テーマセッション記録)