神経症状を伴う Wilson 病に発症し切除し得た多発肝細胞癌の1例
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概要
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症例は54歳女性.28歳からWilson病で投薬治療,経過観察されていた.2007年1月にCT,USで肝に腫瘍が認められた.肝血流シンチの結果,血管腫と診断された.2008年6月のCTで腫瘍の増大と増加を認めたため,肝細胞癌と診断された.肝機能はChild Aであったが多発病変であることや構音障害,歩行障害などの神経症状を呈していたため,まず肝動脈化学塞栓療法を行った.同年8月に造影CTにてviable lesionを認めたため肝S5-6切除を行った.病理学的には肝の腫瘍はいずれも中分化型肝細胞癌で背景肝は肝硬変であった.ロダニン染色は陰性であった.術後経過は良好で現在まで,神経症状や肝機能の増悪,腫瘍の再発は認めていない.Wilson病に肝細胞癌を発症することは稀であると報告されてきたが最近は合併例も散見される.しかし,その治療法については確立されていない.神経症状を伴い治療方針に難渋した症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
- 2010-07-25
著者
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井久保 丹
唐津赤十字病院外科
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堀田 謙介
唐津赤十字病院外科
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酒井 正
唐津赤十字病院外科
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山地 康大郎
唐津赤十字病院外科
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光野 真由美
唐津赤十字病院外科
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鮫島 隆一郎
唐津赤十字病院外科
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田渕 正延
唐津赤十字病院外科
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湯ノ谷 誠二
唐津赤十字病院外科
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半田 瑞樹
唐津赤十字病院肝臓内科
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山崎 文朗
佐賀大学医学部病理
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井久 保丹
愛媛県立中央病院外科
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井久保 丹
九州労災病院
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山崎 文朗
佐賀大学医学部付属病院病理部
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田淵 正延
唐津赤十字病院外科
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山崎 文朗
佐賀大学医学部病院病理部
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田渕 正延
唐津赤十字病院
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酒井 正
唐津赤十字病院
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鮫島 隆一郎
唐津赤十字病院
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湯ノ谷 誠二
唐津赤十字病院
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