わが国における飼料の安全確保の変遷, 現状と今後の課題
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概要
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飼料の品質の保全を目的として1953年に制定された「飼料の品質改善に関する法律」は,その後飼料の生産,流通を取り巻く環境が変化する中で,1975年に「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)」に改名され,飼料の安全確保に関する規定が追加された.飼料安全法に基づき,飼料の製造業者,販売業者などは飼料の安全確保のための一定の義務が課せられ,これらの義務の履行を確保するために,農林水産省,独立行政法人農林水産消費安全技術センター,都道府県などにより監視・指導が行われている.21世紀に入りわが国で最初の牛海綿状脳症(BSE)感染牛が確認されるとともに,遺伝子組換えトウモロコシのスターリンク問題が発生した.これらの問題および食品中に残留する農薬などのポジティブリスト制度の導入に対処するため,肉骨粉などの飼料用利用の禁止,遺伝子組換え飼料の混入の許容基準の設定,飼料中の農薬などの残留基準の設定がそれぞれ行われた.今後は,飼料の製造工程への適性製造基準(GMP)の導入,いわゆるエコフィードの安全性の確保,飼料のトレーサビリティの推進,抗菌性飼料添加物などの飼料による薬剤耐性菌のリスク管理,ペットフードの安全性の確保が課題となっている.
- 2008-11-25
著者
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