C型慢性肝炎合併維持血液透析患者に対する安全かつ効果的なインターフェロン-β治療法の検討
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概要
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維持血液透析患者のC型肝炎ウイルス(HCV)感染率が高いことは知られており,最近HCV感染が予後規定因子であるといわれている.しかし未だ血液透析患者における安全で効果的なインターフェロン(IFN)投与法は確立されていない.維持血液透析患者2名に副作用が少ないIFN-βを中長期間(24週,2年)投与し,薬物動態,投与法,安全性,治療効果について検討した.1例目は38歳男性,高ウイルス1型.初回2週間連日点滴静注し以降は透析日のみ投与した.透析日は内シャント静脈ラインから透析開始直前30分でIFN-β 600万単位を投与した.早期ウイルス学的陰性になったが治療後ウイルスの再増加がありIFN-βを再投与した.再治療は1週間連日点滴静注し以降は透析日のみ投与した.投与法を透析開始直後30分に変更し血液透析回路から投与した.2年間投与で特に副作用もなくHCV-RNA定性検査陰性となったが,持続ウイルス学的陰性は得られなかった.開始直後30分投与のCmaxは262±41 pg/mLと開始直前30分投与のCmax 214.7±38.25 pg/mLよりやや高いが透析中の約4時間で体内から消失し蓄積はなかった.2例目は58歳男性,低ウイルス量2型.1例目再治療時に準じてIFN-βを透析開始直後30分で24週間投与し持続ウイルス学的陰性を得た.血圧低下にIFN-βの関与を疑い8週目から300万単位に減量し改善した.Cmaxは600万単位投与で259±43.9 pg/mL.300万単位投与で143.5±5.09 pg/mL.ほかの副作用はなかった.IFN-α製剤は副作用のため治療継続,長期投与が困難であるがIFN-βはそれを可能にする.血液透析開始直後30分投与は安全面,治療効果において優れた投与法である.
- 2009-05-28
著者
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菅野 雅彦
愛仁会高槻病院内科
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荒木 真
京都大学医学部附属病院腎臓内科
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竹岡 浩也
兵庫県立尼崎病院腎臓内科
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池田 昌樹
兵庫県立尼崎病院腎臓内科
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近藤 麻紀子
兵庫県立尼崎病院腎臓内科
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土井 俊夫
徳島大学医学部臨床検査医学
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土井 俊夫
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
土井 俊夫
徳島大学腎臓内科
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荒岡 利和
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
西岡 敬祐
京都大学医学部附属病院腎臓内科
-
岸 誠司
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
岸 史
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
繁田 令子
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
村上 太一
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
近藤 直樹
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
松浦 元一
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
吉川 和寛
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
美馬 晶
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
長井 幸二郎
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
高橋 利和
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
安部 秀斉
徳島大学医学部病態情報医学講座腎臓内科学分野
-
杉山 あずさ
兵庫県立尼崎病院腎臓内科
-
杉山 あずさ
兵庫県立尼崎病院 糖尿病・内分泌内科
-
竹岡 浩也
兵庫県立尼崎病院 糖尿病・内分泌内科
-
繁田 令子
徳島大学腎臓内科
-
土井 俊夫
徳島大学医学部・歯学部附属病院検査部
-
近藤 麻紀子
兵庫県立尼崎病院
-
西岡 敬祐
京都大学大学院医学研究科腎臓内科学
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