透析患者に発生した悪性リンパ腫の2例
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概要
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透析患者に発生した悪性リンパ腫の2例を経験したので報告する.症例1は85歳,男性.血液透析歴は14年.2007年7月,喉に違和感があり近医を受診,径3 cm程度の右咽頭腫瘍を認め確定診断目的に生検,non-Hodgkin,diffuse large B-cell lymphoma,CD20+との病理診断であった.精査の結果,Ann Arbor分類で臨床病期IEと診断,R-CHOP療法を開始した.CTと内視鏡では3コース終了時点で腫瘍は完全に消失,化学療法は3コースで終了し,追加療法も行わなかった.現在,再発を認めていない.症例2は84歳,男性.血液透析歴は8か月.2008年3月に誤嚥性肺炎を発症,抗生剤投与で肺炎改善後も38℃前後の発熱が継続,全身状態が急速に悪化した.4月下旬,UA 15.4 mg/dL,補正Ca 12.0 mg/dLと異常高値を認め,悪性腫瘍の存在を疑って精査したところ,CTで径15 cm程度までの鼠径部・骨盤内腫瘤が多数出現,LDH 3,744 U/L,sIL-2R 9,863 U/mLと上昇しており,悪性リンパ腫が疑われた.確定診断目的に鼠径部・大腿部腫瘤を生検,症例1と同様の病理診断であった.生検の2日後に急変,永眠された.発熱が持続する場合は,悪性疾患を鑑別診断の1つとして考える必要がある.