非線形回帰法によって薬理研究の精度は向上する : 酵素阻害薬の阻害定数の推定の事例
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概要
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酵素阻害定数Kiの推定には統計学的には非線形回帰法を用いることが推奨されている.しかし,アンケート調査を行った国内製薬企業の創薬研究ではLineweaver-Burkプロットなどの直線を当てはめる方法(従来法)が使用されていた.従来法は非線形回帰法に比べて推定精度が劣り,ときに極端に偏って推定された値の発生をもたらす.実際の実験データを用いて従来法と非線形回帰法で阻害定数Kiを推定したところ,両者の間には3倍から1/4倍の違いが生じた.また,従来法はMichaelis-Mentenモデルに整合しない結果をもたらしやすかった.さらにモンテカルロ法で定量的な性能比較を行ったところ,従来法は非線形回帰法に比べて推定精度が悪く,真値から大きく外れた推定値が生じることがあることが分かった.従来法の欠点は論理的な考察からも明らかなので,阻害定数Kiの推定には非線形回帰法の活用を推奨する.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
- 2008-03-01
著者
-
浜田 知久馬
東京理科大学 工学部経営工学科
-
吉村 功
東京理科大学工学部経営工学
-
浜田 知久馬
大阪厚生年金病院 眼科
-
山崎 亜紀子
田辺三菱製薬株式会社 研究本部研究推進部
-
吉村 功
東京理科大学工学部経営工学科
-
吉村 功
東京理科大学大学院 工学研究科
-
浜田 知久馬
東京理科大学
-
久米 英介
田辺三菱製薬株式会社 研究本部安全性研究所
-
田中 澄子
田辺三菱製薬株式会社 研究本部創薬化学研究所
-
吉村 功
大阪厚生年金病院 眼科
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