高齢発症ループス膀胱炎の一例

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症例は74歳，女性．平成10年レイノー現象出現．平成14年抗核抗体陽性を指摘され当科初診．白血球減少，抗DNA抗体陽性，抗RNP抗体陽性を認めたが，活動性病変を伴わず経過観察していた．平成17年2月より頻尿，残尿感が出現し，同年11月より下痢，嘔気を認め，当院入院．腹部CT上，両側水腎症，著明な水尿管および膀胱壁肥厚を認め，膀胱鏡では肉柱形成を認め，生検では間質性膀胱炎の所見を得た．また下部内視鏡検査では結腸粘膜は浮腫状で，生検所見では粘膜下層に炎症細胞浸潤を認め，免疫染色で小血管壁にIgGの沈着を認めた．ループス膀胱炎で発症した全身性エリテマトーデス（SLE）と診断した．プレドニゾロン50 mg投与を開始したところ臨床所見の改善を認めた．本症例は，74歳と高齢発症のループス膀胱炎で，腸管粘膜の免疫染色で小血管壁にIgGの沈着を認め，消化管症状の原因疾患が，SLEによる自己免疫反応としての免疫複合体を介した腸炎であることを免疫組織学的に証明し得た貴重な症例と考えられた．1985年加藤らがループス膀胱炎を報告して以来，2007年までに本邦で46例のループス膀胱炎の報告がなされており，その臨床的特徴をまとめ本症例との比較検討を行った．
日本臨床免疫学会の論文
2008-06-30

高齢発症ループス膀胱炎の一例

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