二層系二重拡散対流における層間物質移動速度の解析

概要

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本研究では密閉容器内で二層に濃度成層したNa2CO3水溶液あるいはNaCl水溶液を側方から加熱・冷却したときに発生する二重拡散対流を対象に，層境界面近傍に注目した可視化実験および溶液抽出法による局所濃度測定実験を実施し，境界面を通して起こる層間物質移動機構とその物質移動特性について検討を行った．可視化実験結果から，下層から上層への物質移動は次のような機構で起こることが判明した．実験初期は中間層の流体が加熱壁面に沿って上昇し上層右上部からバルク流体中に散逸する．その後，境界面を通しての溶質拡散が支配的に起こる擬定常状態がしばらく持続する．境界面崩壊前には下層流体が境界面の加熱壁に沿って直接流入する．また，濃度測定結果から境界面の物質移動係数を算出し，拡散支配期間におけるシャーウッド数の熱レイリー数，シュミット数および初期浮力比に対する相関式を提案した．この式はBergmanandUngan（1988），Nishimuraet al．（2000）のNaCl水溶液に対する実験結果も良好に相関できた．また，この相関式により，境界面崩壊時間が初期浮力比と線形関係にある理由を説明することが可能となった．
社団法人　化学工学会の論文
2003-09-20