夏季の西部北太平洋上における海洋生物起源有機エアロゾルの粒径分布
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
海洋生物生産の活発な時期における海洋大気エアロゾル中の有機物組成と生物起源の寄与を明らかにすることを目的として, 外洋域における有機炭素および有機態窒素の質量粒径分布測定を行った. 本稿では, その結果について解説する. 夏季の西部北太平洋での有機エアロゾルの放出源として海洋生物の影響が大きく, その組成は有機態窒素に富むことが明らかになった. 安定炭素同位体比の分析から, 本研究海域でのエアロゾル全炭素に占める海洋生物起源の割合は46-72%と見積もられた.Size-segregated aerosol samples were collected over the western North Pacific in the summer of 2008 for the measurements of organic nitrogen (ON) and organic carbon (OC). ON and OC showed bimodal size distributions and their concentrations showed positive correlation with those of biogenic tracers, methanesulfonic acid and azelaic acid. We found that average ON and OC concentrations were twice greater in aerosols obtained in the oceanic region with higher biological productivity than with lower biological productivity. The average ON/OC ratios are higher (0.49±0.11) in more biologically influenced aerosols than those (0.35±0.10) in less biologically influenced aerosols. Stable carbon isotopic analysis indicates that marine-derived carbon accounted for ~46-72% of total carbon in more biologically influenced aerosols. These results provide evidence that organic aerosols in this region are enriched in ON that is linked to oceanic biological activity and the subsequent emissions to the atmosphere.大気圏と生物圏の相互利用. 北海道大学低温科学研究所編
著者
関連論文
- 「エアロゾルの地球化学」によせて
- 西部北太平洋域の海洋境界層内におけるエアロゾル中有機成分の粒径分布とエアロゾル光学特性の評価
- 国際気象学・大気科学協会2001年会合(IAMAS2001)報告
- 森林火災中に採取された東南アジアエアロゾル中の低分子ジカルボン酸の粒径別組成
- 分子レベル放射性炭素年代測定法と地球化学・環境試料への応用
- 第19回日本気象学会夏期特別セミナー(若手会夏の学校)の報告
- P-34 レーザー誘起蛍光法を利用したHO_2ラジカルの大気エアロゾル粒子による消失過程の解明(ポスター発表)
- 地球大気化学国際シンポジウム報告
- 3B0942 2006年6月中国・泰山山頂における光化学的オゾン生成 : エアロゾル上HO2ラジカル消失の影響(5物質-1ガス状物質,一般研究発表)
- 都市大気中の半揮発性ジカルボニルとヒドロキシカルボニル化合物の日変動
- B202 大気エアロゾル粒子の吸湿特性 : HTDMAを用いた吸湿成長因子測定から得られる知見(物質循環II)
- C155 被覆による実大気中黒色炭素状物質の雲凝結核能変化(物質循環II)
- NOAA R/V Ronald H. Brown における ACE-Asia 大気エアロゾル観測
- 東アジア域における大気エアロゾル中の低分子ジカルボン酸などの季節変動 : ACE-Asia観測
- ACE-Asia観測期間における済州島及び札幌エアロゾル中の全炭素、窒素濃度と安定同位体比の測定
- NOAA R/V Ronald H. Brown RB01-02航海における海洋大気エアロゾル観測 : 低分子ジカルボン酸の分布
- 10. 海底堆積物中に含まれる有機物分析から明らかにされる
- 南極エアロゾル中のモノおよびジカルボン酸とオキソカルボン酸
- 南大洋の表層堆積物における多環芳香族炭化水素の緯度分布
- 北部北太平洋・ベーリング海における懸濁粒子の脂質成分・安定炭素同位体比の鉛直分布
- 室内実験による不飽和脂肪酸(オレイン酸)からの低分子ジカルボン酸の光化学的生成(予報)
- 古環境を復元する指標としてのバイオマーカー-太平洋における深海底堆積物を例として-
- 284 中期中新世の北欧海における有機物濃集・暗色層の堆積とその古海洋学的意味
- 南大洋におけるアルケノン古水温の変動
- 植物プランクトンと海水温度計 (総特集 水産科学と海洋科学) -- (4章 提言)
- アルケノン生産量と窒素同位体比の関係 (特集 西太平洋の海洋環境)
- 湖底堆積物における不飽和脂肪酸
- O-101 四国沖 IMAGES コアを用いた過去 3 万年間のアルケノン古水温変動
- 1B1430 東京におけるエアロゾル生成過程の統合観測
- 大気中に存在する有機エアロゾルの組成分布と変質
- 氷床コアの有機地球化学 : 過去の大気環境の復元
- 2.10 海洋大気の化学(2 .海洋化学)(第2章 我が国の海洋科学の進歩)
- 東京郊外で同時に採取したエアロゾルおよび降水中の中性脂質成分の経時変化
- 東アジア域における炭化水素の炭素安定同位体比の高度分布 : ACE-Asia 速報
- アジア域から西部北太平洋への陸起源物質の大気輸送 : 父島におけるエアロゾルの長期観測
- はじめに(第12回有機地球化学シンポジウム(南大沢シンポジウム))
- 同時採取した降水およびエアロゾル中の低分子ジカルボン酸・ケトカルボン酸・ジカルボニルの分布と経時変化
- 東京, 福島県田島, 札幌における降雪試料中の低分子ジカルボン酸類の分布と全有機態炭素
- 有機分子から得られる大気環境の変化,人間活動および大気化学過程の情報--氷床コァの解析 (総特集 有機物による環境変動の解読法)
- 海洋有機エアロゾルの分布と輸送 (海洋大気エアロゾル組成の変動と影響予測--VMAP)
- 北極エアロゾル試料中の水溶性有機物のキャピラリーガスクロマトグラフィー, ガスクロマトグラフィー/質量分析法による定量
- 海洋大気中のアルカンと多環芳香族炭化水素--有機エアロゾルの長距離輸送と変質 (総特集 現代海洋化学・2) -- (1章 大気-海洋間の物質交換とフラックス)
- 北極エアロゾルの有機地球化学:有機物の長距離大気輸送と光化学的変質 (IGAC特集)
- 東京における雨・雪およびエアロゾル中のジカルボン酸,ケトカルボン酸,ジカルボニルの分布と季節変化
- 北極大気中の多環芳香族炭化水素:ポーラーサンライズにおける光化学的分解
- 北極エアロゾルの有機地球化学(II) : ポーラーサンライズにおける低分子ジカルボン酸の生成(シンポジウム「地球環境変化と有機地球化学」,第12回有機地球化学シンポジウム(南大沢シンポジウム))
- 北極エアロゾルの有機地球化学 : 多環芳香族炭化水素の分布とアークティックサンライズにおける光化学的分解(第12回有機地球化学シンポジウム(南大沢シンポジウム))
- 大気エアロゾル中の低分子ジカルボン酸の分布と安定炭素同位体比
- 有機化合物の分子レベル安定炭素・水素同位体比測定法の大気化学への応用
- 夏季の西部北太平洋上における海洋生物起源有機エアロゾルの粒径分布
- 東京郊外で同時に採取したエアロゾルおよび降水中の中性脂質成分の経時変化
- 大気中に存在する有機エアロゾルの組成分布と変質(2005年度日本地球化学会賞受賞記念論文)
- 都市エアロゾル,降水中の炭化水素の組成と季節変化
- 北極エアロゾル中の有機地球化学(I) : 脂質成分の分布と陸起源物質の大気輸送(シンポジウム「地球環境変化と有機地球化学」,第12回有機地球化学シンポジウム(南大沢シンポジウム))
- 南大洋の表層堆積物における多環芳香族炭化水素の緯度分布
- 同時採取した降水およびエアロゾル中の低分子ジカルボン酸・ケトカルボン酸・ジカルボニルの分布と経時変化
- 都市大気中の半揮発性ジカルボニルとヒドロキシカルボニル化合物の日変動
- O-85 温暖期(MIS 11)における南大洋の表層水温・生産量・大気循環の変動(10. 海洋地質,口頭発表,一般発表)
- 大気から海へ,海から大気へ--大気-海洋間の物質循環と気候モデル (海が気候をきめる?)