南極オキアミ漁で混獲された魚類について I. カラスコオリウオ(新称)Neopagetopsis ionah NYBELIN
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概要
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南大洋特産のヘモグロビンを持っていないことで有名なコオリウオ科Chaenichthyidaeの魚の中,正確には2回(しかも合計2尾)報告されたに過ぎなかったNeopagetopsis ionah NYBELINが,1976年度および1977年度の南大洋オキアミ試験漁業で,少なからず混獲され,比較的良好な状態の標本が入手できたので,その形態や胃内容物観察とその肉の一般分析の結果を速報する.形態はANDRIASHEV (1960) (標本体長50 cm)の標本と大体一致する.ただし,鰓条骨に8〜9個と変異のあることは注目に価する.この魚にカラスコオリウオの新称を与える.肉の一般分析は,冷凍保存されていた魚体を流水中で解凍し,魚肉を採取して乳ばちで均一化したものを分析試料として行った.水分,灰分は常法により,粗蛋白質はKjeldahl法により得られた総窒素量に6.25を乗じることにより,粗脂肪はSoxhlet抽出器を使用し,エチルエーテルで15時間抽出し,その抽出物重量で示した.結果は水分84.8%,粗蛋白質11.9%,粗脂肪2.0%,灰分1.3%であった.胃内容物中には南極オキアミが多数あり,これは大小2群に分けられる.大きい方は漁船の漁獲対象となったものと同じく体長約5cmであるが,小さい方は体長約2cmで,これは漁網の目を通り技けたものと思われる.ANDRIASHEV (1960)は280 mの深さから底曳網で1個体を得たが,今回は表層近くで南極オキアミ漁により少なからず混獲された.
- 国立極地研究所の論文
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