限局性強皮症患者血中抗Borrelia burgdorferi抗体の検討
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概要
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限局性強皮症25例,全身性強皮症19例,その他の膠原病およびベーチェット病8例,さらに陰性コントロール群としてその他の皮膚疾患23例,正常人14例について蛍光抗体法による血中抗Borrelia burgdorferi IgG抗体,一部の症例においてはIgM抗体の検索も行った.その結果,陰性コントロール群37例において全例40倍以下(平均10.2倍)であったので抗体価80倍以上を陽性と判定した.その結果,限局性強皮症,全身性強皮症においては,血中抗Borrelia burgdorferi IgG抗体はそれぞれ6例(24.0%),4例(21.1%)の症例で陽性であった.その他の膠原病およびベーチェット病群では全例陰性であった.また,抗Borrelia burgdorferi IgM抗体においても同様に限局性強皮症群20例中3例(15.0%)で陽性であった.限局性強皮症群においてその病型と抗Borrelia burgdorferi抗体陽性率との関係をみると線上強皮症でIgG,IgM抗体が高率に検出された.各種検査所見と抗Borrelia burgdorferi抗体の関連については抗Borrelia burgdorferi IgG陽性例で抗核抗体,高IgG,M血症が高率に検出された.しかし,統計学的には有意な差は認められなかった.RAテスト陽性,高IgA血症,低補体血症と抗Borrelia burgdorferi抗体とは相関は認められなかった.今回検索した限局性強皮症患者群において,血中抗Borrelia burgdorferi抗体価が高値を示す例が約1/4の症例で認められ,これらの症例においてBorrelia burgdorferi感染との関連が示唆された.しかし,全身性強皮症においてもほぼ同様の頻度で高値を示す症例が認められたこと,抗Borrelia burgdorferi抗体陽性例で抗核抗体などの免疫異常が比較的高率に検出されることから,限局性強皮症の免疫異常に伴う何らかの自己抗体の交差反応により抗Borrelia burgdorferi抗体価が高値を示したものと考えられた.
- 公益社団法人 日本皮膚科学会の論文
著者
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福田 知雄
慶應義塾大学医学部皮膚科
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西川 武二
慶応義塾大学
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高橋 慎一
慶応義塾大学医学部皮膚科学教室
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新関 寛徳
市立川崎病院皮膚科
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大谷 昌
国立予防衛生研究所細菌部
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森 守
国立予防衛生研究所
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高橋 慎一
慶応義塾大学 医学部神経内科
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多島 新吾
慶応義塾大学医学部皮膚科
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