長期維持透析患者に発症したヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) の稀有な1例

概要

 症例は58歳, 男性. 1991年12月に慢性糸球体腎炎による末期腎不全のため血液透析導入となり, 以後維持透析を受けていた. 2005年11月頃から好酸球増多症が出現し, 2006年8月からダイアライザーと透析回路内に残血を認めるようになった. ヘパリン増量や透析膜の変更を行ったが残血量に変化はなく, 10月頃から透析開始直後に一過性の胸部不快感と血圧低下が出現するようになった. アスピリン服用により残血とショックは消失したが, 掻痒感が出現したためアスピリンを中止したところ, 再び透析時の残血とショックが出現した. 透析後の著明な血小板減少に加え, ヘパリン・PF4複合体抗体 (HIT抗体) が陽性を呈したことから, II型のヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) と診断した. 抗凝固薬をメシル酸ナファモスタットに変更した後は, 透析中の凝血, 血小板減少およびショックは軽快し, 好酸球増多症も軽減した. 透析患者でのHITはほとんどが導入時に発症するが, 本例では透析導入後15年目に初発し, さらに好酸球増多症を伴う透析中のショック症状を認めた稀有な1例であった.

著者

小池 勤 富山大学医学部第2内科
供田 文宏 富山大学医学部第2内科
杉森 弘子 富山大学医学部第2内科
鍵谷 聡志 富山大学医学部第2内科
井上 博 富山大学医学部第2内科
山崎 秀憲 富山大学医学部第2内科
中川 泰三 富山大学医学部第2内科
廣瀬 雅代 富山大学医学部第二内科
大原 麻衣子 富山大学医学部第2内科
市川 久美 富山大学医学部第2内科
供田 文宏 富山大学医学部第二内科
大原 麻衣子 富山大学医学部第二内科
鍵谷 聡志 富山大学医学部第二内科
山崎 秀憲 富山大学医学部第二内科
今井 祐子 富山大学医学部第二内科
掛下 幸太 富山大学医学部第二内科
菅原 秀徳 博仁会横田病院
藤岡 勇人 富山大学医学部第二内科
水谷 南美 富山大学医学部第二内科
志田 しのぶ 富山大学医学部第二内科
滝 知彦 富山大学医学部第二内科
宮本 真由美 富山大学医学部第二内科
本吉 可奈呼 富山大学医学部第二内科
高林 大輔 富山大学医学部第二内科

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