下関開催記念シンポジウム1 シェーグレン症候群発症におけるHTLV-Iの関与
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
HTLV-Iの高浸淫地域である長崎ではシェーグレン症候群(SS)でのHTLV-Iの陽性率が高く,HTLV-I関連脊髄症(HAM)においても高頻度にSSがみられる.HTLV-I感染の有無でFas/FasLやXIAPなど唾液腺細胞死関連蛋白発現の差はなかったが,唾液腺造影と口唇生検陽性率の比較から抗HTLV-I陽性SS群では唾液腺破壊が生じやすいことが明らかとなった.この一因として異所性二次濾胞(GC)の陽性率を検討し,抗HTLV-I抗体陰性SSでGCを有する症例ではCXCL13が高発現していた.CXCL13発現はGCを持たない抗HTLV-I抗体陰性SSや抗HTLV-I抗体陽性SSでも一部観察されたが,HAM-SS症例では,炎症細胞浸潤はあるもののCXCL13発現は観察されなかった.さらに,CXCL13産生細胞である濾胞性樹状細胞の発現とCXCL13発現検討では,GCを有する抗HTLV-I抗体陰性SSにおいて両者は共発現を示した.HTLV-I関連SSの病態の更なる解析のため,HAM患者脊髄液より樹立された細胞株HCT-5と,SS患者口唇生検組織から得られた唾液腺上皮細胞の共培養を行い,上清のサイトカインアレイを行った.sICAM-1やRANTESなど細胞接着・遊走に関わる分子やIP-10などの発現亢進が観察された.一方,共培養時のライセートのアポトーシスアレイでは,pro-caspase 3やFasなど細胞死を誘導する分子の他HSP27など抗アポトーシス分子の発現亢進も観察された. これらのアレイ解析の結果は,HCT-5のSS唾液腺上皮細胞に対する間接的作用あるいは直接的な作用のいずれかが想定されるが,HTLV-IのSS唾液腺上皮に対する直接的な作用の有無について,現在検討中である.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
-
中村 英樹
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析・制御学講座(第一内科)
-
川上 純
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科展開医療科学講座(第一内科)
-
中村 龍文
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 新興感染症病態制御学系専攻
-
高橋 良子
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 展開医療科学講座(第一内科)
-
寶來 吉朗
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 展開医療科学講座(第一内科)
-
中島 好一
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 展開医療科学講座(第一内科)
-
川上 純
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 展開医療科学講座(第一内科)
-
中村 英樹
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 医療科学専攻 展開医療科学講座(第一内科)
関連論文
- 肺胞出血および急速進行性糸球体腎炎により再燃した顕微鏡的多発血管炎の一例
- 高尿酸血症の持続により持続性の多発関節炎を呈した慢性結節性痛風の一例
- ANCA関連血管炎の病態と治療における最近の知見
- 血漿交換・免疫グロブリン大量療法が著効を呈した右下肢に限局する stiff-person 症候群の1例
- 間質性肺炎の急性増悪を認めた慢性関節リウマチの1剖検例
- 診断不明の関節炎を如何に診断するか
- 早期関節炎の捉え方と病態解析の方向性
- 関節リウマチ早期診断とMRI
- 急速な前脛骨動脈閉塞により左下腿切断に至った皮膚型結節性多発動脈炎の1例
- 神経因性膀胱を合併し, ステロイド治療後良好な経過を呈したChurg-Strauss症候群の1例
- 廃用性萎縮筋におけるタンパク分解酵素発現の持続的他動運動による抑制
- EVS2-1 早期リウマチの診断 : 現状と将来展望(リウマチ疾患診療の最新情報-特に関節リウマチについて-, 第19回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 感染症タンパク質"プリオン" : クールーの発見から新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の出現まで
- 生物学的製剤の使い方と留意点 (特集 最新の膠原病診療 : そのパラダイムシフト)
- IL-1阻害薬
- 14.自己炎症症候群
- 超音波, MRIによる評価
- 自己炎症症候群
- 下関開催記念シンポジウム1 シェーグレン症候群発症におけるHTLV-Iの関与
- 下関開催記念シンポジウム2 慢性炎症性疾患におけるHTLV-1感染の基礎的臨床的検討
- 6.関節リウマチ患者に対する大量処理白血球除去療法におけるCS 180 Sカラムの除去性能(一般演題,日本アフェレシス学会第12回九州地方会抄録)
- Rising Star Symposium 3 全身性エリテマトーデスにおけるCalcium/Calmodulin-dependent protein Kinase type IVの役割