病原大腸菌感染症時の検尿による溶血性尿毒症症候群のスクリーニング
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概要
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1996年7月,堺市で病原大腸菌O-157による集団食中毒が発生した。病原大腸菌O-157感染症は高頻度にHUSを発症するため,腎障害の発生頻度と経過を検尿結果から検討した。臨床経過の明確な322名のうち53.4%に尿異常を認めた。初発症状発現から尿異常発見までの期間は5~7日であった。HUSは初発症状発現から5~7日目に発症し,発症時には試験紙法で2+以上の潜血尿または蛋白尿を示していた。尿異常を認めHUSを発症したのは1.7%であり,感染早期の軽度尿異常単独ではHUS発症の予測因子ではないと考えられた。しかし,早期の検尿が正常でもその後に検尿を施行する必要があり,2+以上の検尿異常の際にはHUS発症を疑うべきであると思われた。また,8カ月後の検尿にて異常を認めた症例の中に長期間検尿異常を持続した例を認め,病原大腸菌感染症が長期にわたる尿異常をきたす原因の1つである可能性が示唆された。
- The Japanese Society for Pediatric Nephrologyの論文
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