ラット抜歯創治癒過程における骨形態計測的研究
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概要
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ラット抜歯創治癒過程における骨組織の動態を骨形態計測法, 硝酸銀塩化シアヌルニ重処理法およびcontact-microradiogram (CMR) を用いて検索した.抜歯後3日目より肉芽組織で埋められた創底部の一部より骨芽細胞の集合像を認め, その中心部はエオシン好染性の線維性骨基質の新生が認められた.抜歯後4日目には新生骨基質はさらに増大し, 均質に染まるosteoidの形成となり, その一部に微小石灰化像をみることができ, いわゆるwoven boneからなる新生骨梁の形成をみた.したがって, この新生骨梁の石灰化は骨基質の新生より1日ずれて骨梁中央部より開始することが判明した.これら新生骨梁を骨形態計測的に観察すると, 経日的に抜歯創の単位骨量 (tVsp) は増加を示し, 抜歯後14-21日目では対照のtVspより高くなり, 明らかに骨梁の過形成を示していた.相対類骨量 (ROV) および分画形成面率 (FrFSR) は初め100%であったが, しだいに減少し, 骨梁の過形成時期に一致して対照に近い値を示し, 新生woven boneの石灰化はこの時期にほぼ完了することが判明した.さらに, 同時期には新生骨梁を吸収, 改造するように破骨細胞が多数出現し, 平均破骨細胞数 (MCN) および分画吸収面率 (FrRSR) の急激な増加がみられ, 抜歯後21日目にはtVsp値と同様にピークを示した.しかし, この時期の骨梁問はまだ大部分が線維性組織からなっており, 骨髄組織との置換はほとんどみられなかった.その後, 骨の改造の進行とともにtVspはしだいに減少し, woven boneは1amellar boneへ組み替えられ, 抜歯後32日目には対照のtVspと同様な値となり, 同時に骨梁間には骨髄組織も形成されていたことから, この時期にラット抜歯創の治癒がほぼ完了するものとみなすことができた
著者
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吉木 周作
昭和大学歯学部口腔病理学教室
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菱川 健司
昭和大学歯学部口腔病理学教室
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立川 哲彦
昭和大学歯学部 口腔病理学教室
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山崎 亨
昭和大学歯学部口腔病理学教室
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三木 知
昭和大学歯学部口腔病理学教室
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