東北地方太平洋沖地震の発生過程:
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
東北地方太平洋沖地震の発生過程を明らかにして,なぜM 9が発生したのかという問題に答えることは,今後の地震発生予測とそれによる災害軽減のために大変重要である.本総合報告では,この最終目的へ向けて,既に公表されている色々な解析結果をレビューし,総合的に考察するとともに,今後の課題を示した.最初に,東北地方太平洋沖のプレート境界断層とその周辺における地震発生場の特徴を,主に非地震性すべりの時空間的な変化に着目して調べた.次に,東北地方太平洋沖地震の地震前,地震時,地震後のすべり分布を調べた.これらの知見に基づき,これまで提案された東北地方太平洋沖地震の発生過程に関するモデルを検証した.その結果,M 9の地震を引き起こした鍵は,海溝近傍においてプレート境界断層が長期間にわたって固着していたことか,あるいは,震源から海溝軸にかけての領域において地震時に動的弱化が起こったことである可能性が高いことが指摘された.
著者
-
松澤 暢
東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター
-
飯尾 能久
京都大学防災研究所地震予知研究センター
-
飯尾 能久
京都大学防災研究所
-
松澤 暢
東北大学大学院理学研究科地震・噴火予知研究観測センター
-
松澤 暢
東北大学大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター
関連論文
- (1)地震観測網の運用(Hi-net、F-net、K-NET、KiK-net)((3)地震による被害軽減に資する地震調査研究の推進, 1プロジェクト研究)
- プレート境界地震に伴う余効すべりと岩石の粘弾性挙動
- 非地震性すべりの時空間変化と大地震の発生予測 : 三陸沖における近年の進展を中心に
- 3.7.4.1 不均質構造における地震破壊と波動伝播に関する基礎研究(3.7.4 省際基礎研究,3.7 科学技術振興調整費による研究,3. 研究業務)
- 日本列島下のスラブの三次元構造と地震活動
- 高サンプリング地震観測システムの開発
- 高サンプリングインテリジェントデータロガーの開発
- 自動処理機能付き高サンプリング地震観測テレメターシステムの開発
- 内陸地震はどうして起こるのか?
- 平成19年(2007年)能登半島地震合同余震観測
- (1) 地震観測網の運用(Hi-net、F-net、K-NET、KiK-net)((3) 地震による被害軽減に資する地震調査研究の推進,1 プロジェクト研究,I 研究活動)
- 断層破砕帯部の物理検層 : 野島断層平林NIED井の場合
- 3.6.11 掘削による地震断層帯の強度に関する共同研究(知的基盤推進制度,3.6 科学技術振興調整費による研究,3. 研究業務)
- 3.1.3 地震発生機構に関する研究(震災対策特別研究,3.1 特別研究,3. 研究業務)
- 3.7.5(2) 掘削による地震断層帯の強度に関する共同研究(3.7.5 国際共同研究推進制度二国間型,3.7 科学技術振興調整費による研究,3. 研究業務)
- JGN2の高速広域レイヤー2網を用いたリアルタイム地震観測波形データ交換システムの構築研究プロジェクトについて
- 2004年新潟県中越地震の発生過程 : オンライン合同余震観測結果から
- (5)地震発生機構に関する研究((3)地震による被害軽減に資する地震調査研究の推進, 1プロジェクト研究)
- (5) 地震発生機構に関する研究((3) 地震による被害軽減に資する地震調査研究の推進,1 プロジェクト研究,I 研究活動)
- i 震源域近傍での観測・調査技術の研究開発 : ヒンジライン周辺における応力・歪モニタリング((7)南海トラフにおける海溝型地震災害軽減のための地震発生機構のモデル化・観測システムの高度化に関する総合研究(II期),a.総合研究,5.科学技術振興調整費による研究,2.(1)研究課題一覧,2.研究活動)
- i ボアホール利用による地下深部における地殻応力測定及び地殻活動観測技術等の研究開発((3) 南海トラフにおける海溝型地震災害軽減のための地震発生機構のモデル化・観測システムの高度化に関する総合研究(I期),a. 総合研究,5. 科学技術振興調整費による研究,2.(1) 研究課題一覧,2. 研究活動)
- 3.6.4 南海トラフにおける海溝型巨大地震災害軽減のための地震発生機構のモデル化・観測システムの高度化に関する調査研究(3.6 科学技術振興調整費による研究,3. 研究業務)
- 3.7.1(5) 南海トラフにおける海溝型巨大地震災害軽滅のための地震発生機構のモデル化・観測システムの高度化に関する調査研究 : ボアホール利用による地下深部における地殻応力測定及び地殻活動観測技術等の研究開発(3.7.1 総合研究,3.7 科学技術振興調整費による研究,3. 研究業務)
- 小繰り返し地震解析による宮城・福島県沖プレート境界の準静的すべり
- 陸域震源断層の深部すべりのモデル化 -GPS観測と数値モデル-
- 稠密地震観測データを用いた長野県西部地域の3次元速度構造とその時間変化の可能性
- ii 直下型地震のダイナミクスに関する研究((3)地震発生機構に関する研究,a.震災対策特別研究,1.特別研究,2.(1)研究課題一覧,2.研究活動)
- プレート境界地震とアスペリティ・モデル
- 地震波でみた東北日本沈み込み帯の水の循環 : スラブから島弧地殻への水の供給
- 1930年代に発生したM 7クラスの宮城県沖地震の震源再決定 : 1978年宮城県沖地震のアスペリティでのすべりだったのか?
- 沈み込みプレート境界における断層セグメント間の相互作用
- 小繰り返し地震による東北日本沈み込みプレート境界での準静的すべりの推定 (プレート境界型地震監視計画(1))
- 小繰り返し地震による千島・日本海溝沿いプレート境界の準静的すべりモニタリング (総特集 いま北海道東部で何が起こっているのか?)
- DDトモグラフィによって推定された2004年新潟県中越地震の断層の微細構造 (総特集 2004年新潟県中越地震) -- (2章 地震の発生様式)
- 稠密余震観測データを用いたダブル・ディファレンス・トモグラフィー法による2004年新潟県中越地震の震源断層のイメージング
- 東北日本太平洋下のプレート境界近傍で発生する地震のスケーリング則
- 震災軽減のために理学者ができること (総特集 菊地正幸教授--想い出と業績) -- (3章 社会との連携)
- 地震予知のための新たな観測研究計画--現状・展望・挑戦 (総特集 地震予知のための科学情報の統合化)
- 地震予知研究の動向と可能性 (特集 地震防災と危機管理--東海地震と地震研究をめぐる四半世紀) -- (近年の地震研究の動向)
- 地震観測から見た東北地方太平洋下における津波地震発生の可能性 (総特集 三陸〜房総沖津波地震--今後30年間に起る確率20%)
- (41) 地震観測データの効率的かつ円滑な流通と利用方法に関する研究(5 共同研究,I 研究活動)
- 東北日本弧下の太平洋プレート内部に発生する稍深発地震活動の時空間変化
- レシーバー関数による東北日本弧の地殻・最上部マントル速度構造の推定
- 長町・利府断層の最深部で発生した1996年9月15日の地震(M5.0)について(その2)
- 日本列島及び周辺域の長期広域地殻活動 (総特集 地震予知のための科学情報の統合化)
- 1996年8月11日宮城県鬼首付近に発生した地震について
- 1998年9月15日仙台市で発生した地震(M.5.0)の余震データに基づく応力場の推 定
- 経験的グリーンテンソル法により推定した1998年9月15日仙台市の地震(M5.0)の余震の発震機構
- 大学の新しい地震予知研究体制について
- Triggering sequence of large aftershocks of the Mid Niigata prefecture, Japan Earthquake in 2004 by static stress changes
- Aftershock distribution of the 2004 Mid Niigata Prefecture Earthquake derived from a combined analysis of temporary online observations and permanent observations
- 南海トラフ地震に向けた陸域での地殻応力・歪測定(次の南海トラフ巨大地震に備えて)
- 南アフリカ金鉱山における半制御地震発生実験 : 至近距離観測による地震発生過程の解明に向けて
- 3.1.2 関東・東海地域における地殼活動に関する研究(震災対策特別研究,3.1 特別研究,3. 研究業務)
- 東北大学の観測システムについて
- 福岡県西方沖地震の余震の応力降下量の空間分布 (総特集 2005年福岡県西方沖地震)
- 3.1.3 地震発生機構に関する研究(震災対策特別研究,3.1 特別研究,3. 研究業務)
- まえがき
- 内陸地震の発生過程
- 災害調査特別報告 2004年新潟県中越地震の発生過程
- 2004年新潟県中越地震の発生過程 (総特集 2004年新潟県中越地震) -- (5章 中越地震被災経験の今後の課題と展望)
- 何が陸域の大地震の発生をコントロールしているか? (総特集 陸域震源断層--深部すべり過程のモデル化) -- (4章 モデリング)
- 2003年の南アフリカ金鉱山の地震発生・制御・防災と予知 (総特集 地震予知--予測科学の最前線と社会への適用) -- (1部 地震予知--社会は何を望み我々は何ができるか?)
- 内陸地震発生予測の学問的課題 : 活断層の意義を中心として
- 南ア金鉱山における半制御地震発生実験(2002-2006) (総特集 地震予知のための科学情報の統合化)
- 断層深部で発生するゆっくり地震の物理機構について--不安定-安定遷移領域の構成則 (総特集 地震予知のための科学情報の統合化)
- 南ア金鉱山での震源過程直接観察
- 野島断層平林NIED井破砕帯部の物理検層からみた特徴
- 1995年兵庫県南部地震に伴う野島断層を貫くドリリング調査
- 地震予知の戦略と展望(地震災害を考える-予測対策-)
- 東北日本弧の三次元地震波速度構造とVp/Vs構造
- (2)広帯域地震観測施設整備(9.基盤観測,2.(1)研究課題一覧,2.研究活動)
- ii 直下型地震のダイナミクスに関する研究((3)地震発生機構に関する研究,a.震災対策特別研究,1.特別研究,2.(1)研究課題一覧,2.研究活動)
- i 内陸地震の発生機構に関する実験研究((3)地震発生機構に関する研究,a.震災対策特別研究,1.特別研究,2.(1)研究課題一覧,2.研究活動)
- 長野県西部地域における地震発生域の電気伝導度構造
- CSAMT法と流電電位検層法による淡路島北部の活断層調査
- 下部地殻の水が島弧地殻の変形を規定する (総特集 脆性破壊--塑性変形領域の断層岩と地震)
- 東北地方とその周辺における気象庁と東北大学の震源比較
- 三陸沖における地震活動の特徴について
- 阿寺活断層ドリリング(II) -岐阜県福岡町における地殻応力測定-
- 東北地方中央部の高分解能三次元地震波速度構造
- 岩手県釜石沖の固有地震的地震活動
- (1) 深部地殻に関する研究(3. 海洋開発及び地球科学技術調査研究促進費による研究,2.(1) 研究課題一覧,2. 研究活動)
- iii 島弧超深層掘削による地球深部ダイナミクスに関する研究((3) 地震発生機構に関する研究,a. 震災対策特別研究,1. 特別研究,2.(1) 研究課題一覧,2. 研究活動)
- ii 直下型地震のダイナミクスに関する研究((3) 地震発生機構に関する研究,a. 震災対策特別研究,1. 特別研究,2.(1) 研究課題一覧,2. 研究活動)
- i 内陸地震の発生機構に関する実験研究((3) 地震発生機構に関する研究,a. 震災対策特別研究,1. 特別研究,2.(1) 研究課題一覧,2. 研究活動)
- 地震が多発した場合にも処理可能な地震波自動処理システムの開発
- 長町・利府断層の最深部で発生した1998年9月15日の地震(M5.0)について (総特集 東北日本トランセクト--島弧変形と地殻活動) -- (東北日本の地震活動と地殻構造)
- ヒンジラインでの応力・歪モニター (南海地震解明のための新しい手法の開発)
- 3.2.11 地震発生域における熱構造に関する研究(3.2 経常研究,3. 研究業務)
- 阿寺活断層ドリリング(I) -岐阜県川上村, 付知町における400m掘削井の岩石コアおよび検層結果-
- ヒンジラインに位置する和歌山県新宮市における水圧破壊応力測定
- 長野県西部地域電気伝導度調査 -MT法とCSAMT法による潜在断層調査例-
- 3.3.25 地震発生域における熱構造に関する研究(3.3 経常研究,3. 研究業務)
- Aftershock seismicity and fault structure of the 2005 West Off Fukuoka Prefecture Earthquake (M_7.0) derived from urgent joint observations
- プロジェクト総論:陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化に関する総合研究 (総特集 陸域震源断層--深部すべり過程のモデル化)
- S-25 「内陸震源領域での断層帯の滑りと流動」の紹介(シンポジウム : (4)内陸震源領域での断層帯の滑りと流動 : 地質学と地球物理学の統合研究)
- なぜ東北日本沈み込み帯でM9の地震が発生しえたのか?--われわれはどこで間違えたのか? (特集 東北地方太平洋沖地震の科学)
- 日本列島下のスラブの三次元構造と地震活動
- 東北地方太平洋沖地震の発生過程: