若年者結核の臨床的検討 : 2000年の関東・近畿地域の入院症例の分析

概要

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社会的活動性の高さからみて若年者結核の動向は今後のわが国の結核罹患率を左右する重要因子の1つである。その現状を把握するために関東・近畿の結核患者収容7施設に2000年1月1日〜12月31日の間に入院した20〜29歳の初回治療結核症例について, 性・年齢・国籍などの属性;体格・基礎疾患の有無などの背景因子;発見に至る経過;排菌量・画像所見からみた病変の進展度と薬剤感受性;治療内容とその後の経過を調査・分析した。男性129, 女性105例の計234例が集計され, 以下の結果を得た。 (1) 有症状受診者が約80%を占め, 咳のある排菌者では半数以上で診断確定に5週間以上を要した。 (2) 進展例が半数以上を占めた。 (3) 外国人が26例 (11.1%) あり, 耐性菌排菌者や重症例が含まれていた。 (4) 薬剤耐性はINHの7.7%をはじめとして比較的高率であった。 (5) PZAを含む4剤のレジメが塗抹陽性者の84.0%で用いられた。 (6) 入院期間は90日以内が63.7%, 治療期間はPZAを含む4剤群でも6カ月で終了したのは48.0%にとどまった。大都市圏では若年者結核の早期発見策の強化と退院後の直接服薬確認作業の一層の普及が必要と考えられる。また, 在院・治療期間はより短縮されるべきである。
日本結核病学会の論文
2003-08-15