Serratia marcescensの臨床分離株における色素非産生,薬剤耐性株の増加とRプラスミドとの関係
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概要
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臨床から分離されるSerratia marcescensの色素非産生株の増加がとくに尿路由来の分離株に著しいこと,および色素非産生株は色素産生株に比べて各種抗菌剤に耐性を示す株が多いこと。以上の現象を解析するために各種実験を試み以下の結果を得た。S. marcescensの色素非産生株は色素産生株よりもおよそ100倍高い頻度でRプラスミドpTM1の伝達をうけやすいことが,多くの臨床分離株を用いて確かめられた。またRプラスミドの種類によつてはS. marcescensに伝達されるもの(不和合性N, W, M, LおよびF II群)と伝達されたいもの(OおよびX群)とが存在し,臨床上本菌から検出されるRプラスミドの不和合性の知見と一致した。さらに不和合性N, M, LおよびF II群のRプラスミドを伝達された色素産生株からは10-3の高頻度で色素非産生細胞が出現し(色素非産生株自然出現頻度;<10-6),Rプラスミドを保有することにより,色素産生能の脱落が促進されることが確かめられた。一方,不和合性W群のRプラスミドは色素産生能の脱落を促進しなかつた。これらの実験結果から,S. mercescensは1)色素産生能の自然脱落によりRプラスミドの伝達が促進される,2)Rプラスミドが伝達されることにより色素産生能が脱落するという2つの過程が明らかにされた。この現象が自然界または生体内で生ずることが,近年臨床分離株に色素非産生で薬剤耐性の株が増加していく一因と考えられる。
- 日本細菌学会の論文
著者
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辻 明良
東邦大学医学部看護学科感染制御学
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金子 康子
東邦大学医学部微生物学教室
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五島 瑳智子
東邦大学医学部微生物学教室
-
武藤 弓子
東邦大 医
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武藤 弓子
東邦大学医学部微生物学教室
-
辻 明良
東邦大学医学部微生物学教室
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