Monofluoroacetanilidesの毒性発現機構に関する生化学的研究(第3報) : Monofluoroacetanilidesの微生物酢酸代謝への影響
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概要
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Fluoroacetanilidesの毒性発現機構の一端を説明するために,イースト(圧搾酵母)およびArthrobactor ureafaciensの酢酸代謝に対するNa-fluoroacetate (NaFA), fluoroacetanilidesおよびfluoroacetamide (FAm)の影響をワールブルグマノメータ法により検討し,次の結果をえた. (1)イーストではNaFAによる阻害は極めて顕著であり,本実験条件下でのNaFAモル濃度と90分における阻害度(H)との関係は,おおよそ50%阻害濃度φg=3×10-5Mとする2次のシグモイド式で表わし得た. H=1/1+(3×10-5/[NaFA])2同じ実験条件下でfluoroacetanilidesおよびFAmによる阻害はNaFAの1/20〜1/30だが,同様にφg=6×10-4〜1×10-3Mのほぼ2次の阻害関係が推定された.さらにイーストはfluoroacetanilidesに対し,わずかながら酵素的加水分解活性を有すると考えられる結果をえたので, fluoroacetanilides自体はTCA-cycle阻害性がないが,加水分解をうけてfluoroacetateによる阻害がおこるものと考えた. (2) A. ureafaciensでは, NaFA, fluoroaceto-p-bromoanilideおよびFAmのいずれも10-6〜10-4Mで同程度の阻害を示した.かつ少なくともイースト以上の酵素的加水分解活性は認められない結果であった.本菌の場合,酢酸代謝機構が明確でなくなお検討を要する. (3)イースト酢酸代謝に対するNaFAの阻害実験から, fluoroacetateとして1×10-5〜4×10-4M (0.8〜30p.p.m.)範囲の濃度識別が可能と考えられた. bioassay手段として興味がもたれる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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