Mentha gentilis L. の精油から単離した新テルペンアルコールの絶対構造と立体配座について

概要

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東海地方に分布する一野生種,Mentha gentilis L.の精油成分から,新テルペンアルコールを単離し,その構造を検討した結果,本物質の水添によって生成した2種のジヒドロ化合物の一方が,(+)-(1R)-プレゴンから誘導した(+)-(1R:4S)-4-ヒドロキシイソメントンと一致し,他方はその(-)-(1R:4R)-4-ヒドロキシメントンの光学対掌体に相当することから,本物質は(+)-(4S)-4-ヒドロキシ-1-ρ-メンテン-3-オンであることを決定した. 一方,種々の溶媒中における本化合物のCDスペクトルは,オクタント則ならびに逆オクタント則を適用して予測したとおり,n→π*遷移に基づく負のCotton効果として,またπ→π*遷移で正のCotton効果としてそれぞれ観測されること,およびそのジヒドロ混合物のCD曲線が,ケトンのオクタント則から予想される正のCotton効果として示されることより,本物質の立体配座は,イソプロピル基がアキシャルで,カルボニル基とニクアトリヤル水酸基との間で,水素結合し得る形をとっていることを証明した.
社団法人日本農芸化学会の論文