ウリナスタチン５０００単位タンポンのちつ内連日投与による切迫早産の治療

概要

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切迫早産の背景には子宮頸管炎や絨毛膜羊膜炎が存在する．ウリナスタチン（urinary trypsin inhibitor：UTI）は，炎症性サイトカインの働きを抑え，子宮頸管炎や絨毛膜羊膜炎の進行を阻害し，早産予防に役立つと考えられている．今回われわれは，塩酸リトドリンにUTIを併用し，その有用性を検討した．切迫早産の入院治療を受けた妊婦を以下の２群に分類し研究を行った： U群，塩酸リトドリン使用に加えて，ウリナスタチン（5000単位）タンポンを腟内に連日投与した15例；C群，UTIを投与せずに塩酸リトドリンのみで切迫早産の治療を行った20例（過去のカルテから選択したhistorical control）．ただし2群とも，必要であれば硫酸マグネシウムの併用は可能とした．入院治療期間や早産率は，2群間で有意差はみられなかった．1日あたりの塩酸リトドリン使用量は，C群と比較して，U群では有意に少量であった．またU群では硫酸マグネシウムをまったく使用しなかった．以上より，ウリナスタチン（5000単位）タンポンの腟内連日投与は簡便で有用な子宮収縮抑制の補助療法になりうる．〔産婦の進歩54（4）：302-307，2002（平成14年7月）〕