不溶性酵素に関する研究(第1報) : CMC-糖化形アミラーゼの酵素的性質
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概要
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CMCからCMC-ヒドラジドを経てCMC-アジドを調製し,つぎにCMC-アジドへRhizopus niveusの糖化型アミラーゼを反応させ, CMC-糖化型アミラーゼを調製した.この反応で反応液中の27%の酵素を不溶化できた. CMC-糖化型アミラーゼは2.2±0.3%の酵素蛋白質を含有し,また比活性はnative酵素の比活性の90%であった.ついでCMC-糖化型アミラーゼの性質について研究し,つぎの結果を得た. (1) CMC-糖化型アミラーゼのpH依存性,活性化エネルギー,分解生成糖類,金属イオン, EDTAおよび蛋白変成剤に対する挙動などはnativeの酵素とほとんど同じであった.しかしながら耐熱性および酸性側におけるpH安定性は多少弱かった. (2) CMC-糖化型アミラーゼのKmはアミロース(分子量195万)を基質とした場合1.25×10-7Mであり, native酵素のKmは0.74×10-7Mであった.同様にマルトースを基質にした場合, CMC-糖化型アミラーゼでは1.74×10-3Mであり, native酵素では0.96×10-3Mであった. (3) マルトースを基質にした場合のα-メチルグルコシドのKiはCMC-糖化型アミラーゼで4.91×10-2Mであり, native酵素で3.04×10-2Mであった. (4) 分子量別のアミロースに対する作用をnative酵素と比較すると分子量50万以上のアミロースに対するCMC-糖化型アミラーゼの比活性はnative酵素の比活性の15〜17%程度であるが,分子量126,000のアミロースでは25%, 30,000のものでは43%,さらに8000では77%であった. (5) CMC-糖化型アミラーゼの粒径はほとんどのものが長径50μ以下のものであった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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