定常熱伝導系の微生物学への応用(第6報) : 温度勾配培養法による低温性細菌の発育温度特性の検定とその意義
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概要
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冷蔵下の畜産食品65点から5°Cで10日以内に集落を形成する低温性細菌96菌株を分離し,その菌の同定試験を行なう一方,温度勾配培養法による発育温度特性の検定を行ない,低温細菌を定義づけるその特性値の意義に検討を加えた.分離菌の多くはPseudomonas,Alcaligenes, Achromobacterなどのグラム陰性桿菌であり,グラム陽性菌ではMicrococcusの検出率が高かった.温度勾配培養による発育温度特性値としては,発育適温,24時間培養後の最高および最低発育温度ならびに致死培養温度を測定した.その結果,発育適温は主として26〜32°Cの範囲にあり,また,24時間培養の最低発育温度は11〜15°Cの例が多く,供試菌はすべて中温性低温菌であることがわかった. 発育温度特性値のうち,発育適温,発育最高および致死培養温度を分類因子として低温細菌を大別すると,グループI〜IVの4群に分類でき,そのうち,発育適温25〜30°CのグループIIは最高発育温度区分で2つに細分された.また,温度勾配下で集落帯が発育適温相当位置から高温側および低温側に拡大していく速度,またはそれらを総括的に画いた温度勾配下の発育温度曲線は,低温細菌の発育温度の性質と定義に新しい知見を加えるものである.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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