酸化細菌に関する研究 : (第13報)酸化細菌のグルコース,グルコン酸,ケトグルコン酸に対する酸化能に就いて
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概要
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Pseudomonas fluorescens liquefaciens, Pseudomonas fluorescens 40 F, Acetobacter suboxydans ATCC 621及びGluconoacetobacter roseumの菌体浮遊液を用い,ワールブルクの検圧計によつてグルコース, gluconate, 2-ketogluconate及び5-ketogluconateを基質とした場合の酸素吸収を測定し,次の結果を得た. (1) P. fluorescens liq.はグルコース, gluconate, 2-ketogluconateのいずれに対しても,その1分子に対し, 6原子以上の酸素吸収を示めし,グルコースがgluconate, 2-ketogluconateを経て代謝されることが認められたが, P. fluorescens 40 Fはグルコース, gluconateに対して酸素吸収を示めすに拘らず2-ketogluconateを酸化せず,また2-ketogluconic acidの生成が見られなかつた.以上の事実から本菌の糖酸化代謝に2-ketoglueonateを通らない経路が強く推定された. (2) P. fluorescens liq.及びP. fluorescens 40 Fの菌体浮遊液によるグルコース及びgluconate酸化の最適pHはいずれも7.0であり, A. suboxydans 621及びG. roseumのそれはグルコースの場合pH 5.0, gluconateの場合 pH 4.0であり,培養実験によつて認められている如く,その酸化の最適pHは酸性側に偏つている. (3) 5-Ketogluconateに対してはP. fluorescens liq.のみ酸素吸収を示めし,恐らく5-ketogluconate分解の経路を有するものと考えられる. P. fluorescens 40 F, A. suboxydans 621, G. roseumはいずれも酸素吸収を示めさなかつた.但し, A. suboxydans 621のみは少量のグルコースを添加することによつて5-ketogluconateに対する酸素吸収が著しく強く行われることが認められた.猶, gluconateにはその効果がなかつた.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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