酪酸菌の胞子形成能の退化現象
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概要
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酪酸菌の一株Clostridium butyricum ATCC 6014を累代培養した時に観察される胞子形成能の退化と,醗酵生産物の変化について検討した. バレイショ抽出液培地で累代培養した時には,退化の発生は比較的遅いが,糖消費能が漸次減少するのにつれて,対消費糖当りの酪酸生成量が増加し,ソルベント生成量が減少した. 退化の進行と共に胞子形成率は低下し,菌体は長大化した.殊に0.1%フェノール添加培地では通常の菌体の50〜100倍の長さのfilamentous cellに変態した. 退化は培地の酸性化,フェノールの添加により促進され, CaCO3は退化を防止した.接種量,移植間隔, NaClの添加は退化に影響を与えなかった.供試菌の退化現象は環境条件の変化にもとつく,一時的変異であると考えられる.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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