冬季の高温が落葉果樹の休眠におよぼす影響(第5報) : 冬季の昼温がモモおよびカキの春季の発芽におよぼす影響
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概要
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1. 1955年および1957年12月から翌年3月中旬までの間に一定期間ずつ順にモモ(岡山早生)の幼苗をガラス室に搬入し,或はモモ(岡山早生)およびカキ(平核無)の幼苗をビニールで覆い,人為的に昼間(午前8時30分〜午後4時30分,8時間)のみ高温に遭わせ,春季の展芽,伸長,生育の状況を比較観察した。因みにその場合,気温は自然状態にくらベて日最高気温で10.0〜13.3°C高かつた。なお別に日陰においた区(昼間の気温で自然状態より2.0〜4.0°C低い)および1月上旬に5日或は7日間低温処理(-1〜0°C)した区を設けた。2.冬季の昼温の高低はモモの自発休眠の完了を妨げ或は促がす,殊に昼高温の発生する時期が初冬であると,自発休眠が不完全になり易く,晩冬であると展芽,伸長が促がされ生育がよい。また1月に5日或は7日間低温処理するとその自発休眠の完了が促がされ,春季の生育が著しくよくなる。なお昼夜を通じて行なう温暖処理(8〜16°C)は昼間のみ高温で温暖処理(22〜26°C)するよりも自発休眠を不完全にする程度が著しい。3. カキでは冬季間の昼温の高低がその自発休眠の完了を妨げも促がしもしない。しかし昼温が高いと,頂部の1〜2芽が枯死して春季にそれ以下の芽が展芽するが,発芽後の生育は至極旺盛である。また1月に7日間低温処理するとその生育が抑制される。4. 従つて高知ではモモにとつて12月, 1月の昼温はやや高過ぎ,夜温も常時低いことが望ましい。しかしカキにとつて冬季の気温は不適当とはいえない。
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