カンキツの苦味に関する研究 : (第1報)ナツダイダイ果実の味覚に合致した苦味成分(ナリンジン) の測定法
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概要
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ナツダイダイ果実が凍結によって苦くなる機構を明らかにし, 味覚に合致した苦味成分(ナリンジン)の測定法を検討した.1. 果汁及びじょうのうでは不溶型ナリンジンは全く認められず, すべてが可溶型ナリンジンであった. 果皮の場合には4.0%の不溶型ナリンジンが存在したが, これが真の不溶型なのか, なお果皮の磨砕が不充分であったためなのか判然としなかった.2. 凍結により果肉の苦味が増大するのは, 砂じょう膜がぜい弱化しているために, その膜のナリンジンがすでに砂じょう内に溶出してジュースが相当苦くなっている上に, 更に歯でのそしゃくにより砂じょう膜(特に柄)からも多量のナリンジンが溶出するためと思われる.3. 手動式搾汁器 (市販のニンニク搾汁器) で搾汁した果汁中のナリンジン含量と果肉の苦味の程度とはよく一致しており, この方法で果汁を調製すれば味覚に合致したナリンジンの定量が可能と思われる.4. Davis 法は温度等の測定条件も余り厳密に設定する必要はなく, 検量線も常に同一の直線を示した. 従って, 手動式搾汁器で調製した果汁を Davis 法で発色させ, 分光光度計あるいは標準色票を用いてナリンジンを定量すれば, カンキツ生産地でも果実の苦味の程度を判定することが出来ると思われる.
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