カンキツのフラバノン•ネオヘスペリドシドの遺伝
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概要
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カンキツのフラバノン•グリコシド系の苦味成分 (フラバノン•ネオヘスペリドシド) の遺伝を明らかにするため, 著者ら (5) はカンキツ実生の果実 (果汁) のフラバノン•グリコシド組成の定性分析を高速液体クロマドグラフィー法 (HPLC法) により行った. その結果,フラバノン•ネオヘスペリドシドは優性に発現し, 無味のフラバノン•ルチノシドは劣性ホモの発現であること, ヘテロ品種と劣性ホモとの品種の交雑では, ネオヘスペリドシドを含有する個体とルチノシドのみを含有する個体が3:1ないし, 1:1に分離することも見出した. しかし, 結実までに長年月を要する果樹では調査個体数が限られており, 既報 (5) では完全な遺伝解析をするまでには至らなかった. 果実のフラバノン•ネオヘスペリドシドの遺伝解析を完全に行うためには,フラバノン•グリコシド組成の解析を果実で行うのではなく, 栄養体である葉を用いた早期検定による解析法を確立する必要がある. 著者らは前報 (6) において葉抽出液のネオヘスペリドシドの有無から果実のそれの有無を推定できることを明らかにするとともに, 酵素免疫測定法 (ELISA法) によるフラバノン•ネオヘスペリドシドの高感度•簡易分析法を確立した. そこで本報告では交配実生集団の葉を用い, ELISA法によるカンキツのフラバノン•ネオヘスペリドシドの分析結果からその有無の遺伝を解明したので報告する.
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