単胚性カンキツ類におけるコルヒチン処理と茎頂接ぎ木法との併用による同質4倍体の作出
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概要
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カンキツ類において,単胚性品種の同質4倍体を倍数性育種の素材として利用することを目的として,それの人為的な作出を試みた. 単胚性品種であるクレメンティン,ハッサク及びヒュウガナツを供試し,それらの新梢の腋芽を約0.5mmの高さに切り取り,0.1%コルヒチン溶液に室温下で2〜6時間浸漬させた.これらの腋芽は,カラタチの実生を台木として,簡易茎頂接ぎ木法と寄せ接ぎ法(高原ら,1986)を用いて植物体に育てた(Fig.1,2)、得られた植物体については,新梢の腋芽で染色体数の確認を行い,倍加の有無を判定した.'その結果,クレメンティン及びヒュウガナツで2時間,ハッサクでは6時間コルヒチン溶液に浸漬させた腋芽より得られたそれぞれ1個体が完全な4倍体であった(Table2).これら4倍体では,2倍体に比べて葉が幅広く,厚く,さらに気孔が大きかった(Fig.4).また花器の形態的な特徴として,花弁,がく及び雌ずいが肥大していた(Fig.5).さらに倍加個体では,とげの発生が見られた(Fig.6).この現象は,カンキツ類において同質4倍体を人為的に作出する際,倍加の有無を知るための一つの重要た指標になるものと思われた.以上のことから,本研究で試みた方法を用いることにより,単胚性力ンキツ類において同質4倍体の人為的な作出が比較的容易に行えることが明らかとなった.
- 日本育種学会の論文
- 1986-12-01
著者
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