収穫時期におけるリンゴ‘ジョナゴールド’果皮の脂質の変化

概要

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収穫時期におけるリンゴ‘ジョナゴールド’果皮の粘着性物質を明らかにするために, 未熟期から成熟期にかけて, 常温で液状の不飽和脂肪酸を主体にGC-MSにより果皮の脂質を分析した. その概要は次のとおりである.1. 収穫時期が遅くなると果皮における脂質の種類及び量ともに増加した.2. 最も遅い収穫時期における主な脂質として17種類の脂肪族化合物が同定された. これらの脂質の中で, 常温で液状の物質は oleic acid と linoleic acid が存在する.3. 未熟果で未検出またはこん跡程度で, その後の成熟果で増加した脂質は palmitic acid, stearic acid, oleic acid, linoleic acid 及び triacontane であった. また, 不飽和脂肪酸のうち, oleic acid は linoleic acid より遅れて果皮に出現した.4. 果皮の粘着性と消長が一致し, しかも常温で液状の脂質は linoleic acid である.5. 粘着性が発生していない‘ジョナゴールド’果皮に市販の linoleic acid を塗布したところ, 果皮のろう質物が溶解され, 自然発生の粘着性と良く似た粘着性現象が現れた.6. 以上の結果から, リンゴ‘ジョナゴールド’果皮の粘着性を示す原因物質として linoleic acid と oleic acid が推察された.
園芸学会の論文