リンゴ'陸奥'の有袋栽培が貯蔵中のやけ症状と揮発成分に及ぼす影響
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概要
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陸奥を供試し,有袋果と無袋果の貯蔵やけの発生を比較した.また,有袋果と無袋果の貯蔵中における果皮の揮発成分の相違を検索し,さらにその相違する成分についてリンゴ果皮に及ぼす影響を検討した.<BR>1.有果袋は無袋果より貯蔵やけが少なかった.<BR>2.貯蔵中における果皮の主な揮発成分の同定を行ったところ,有袋果と無袋果に共通して65種類の成分が同定された.しかし,両者の間に成分的な差異はみられなかった.<BR>3.貯蔵期間中で無袋果より有袋果で特異的に少ない成分に着目し,両者における成分の構成比率を検索した結果,<I>trans</I>-2-hexenal の差異が最も大きく,次いでn-butylacetateの差異が大きかった.<BR>4.貯蔵やけの原因物質として考えられているα-farneseneについても有袋果と無袋果の構成比率の比較をしたが,差異はみられなかった.<BR>5.市販の<I>trans</I>-2-hexenal,n-butylacetateおよびfarnesene(異性体含有)を貯蔵果実に添加処理し,果皮に及ぼす影響を検討した.その結果,<I>trans</I>-2-hexenalは最も低濃度で貯蔵やけ様症状を呈し,n-butylacetateはこれに次ぐ濃度で発生した.しかし,farnesene処理では全く発生しなかった.<BR>6.これらの結果から,陸奥の有袋果における貯蔵やけの減少に<I>trans</I>-2-hexena1やn-butylacetateの減少が要因の一つとして関与している可能性が示唆された.
- 園芸学会の論文
- 1996-06-15
著者
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