モモの根に含まれる生長抑制物質によるβ-シアノアラニン合成酵素活性の抑制
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概要
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モモの根に含まれる生長抑制物質がβ-シアノアラニン合成酵素活性に及ぼす効果について調査した. モモの根のアルコール抽出物を溶媒抽出法で種々の分画に分けて, それぞれの分画中の縮合性タンニン含量と酵素活性の抑制度を比較したところ, 両者の間には正の相関があった. 最も縮合性タンニン含量が高く, 酵素活性の抑制度の大きかった酢酸エチル可溶中性分画を更に SephadexLH-20カラムクロマトグラフィで分離したところ, 縮合性タンニン含量が高い溶出分画でイネ実生の生長抑制効果が大きく, β-シアノアラニン合成酵素の活性も抑えられた. モモの根から抽出精製した生長抑制物質である biflavanols のうちの一つについて, 酵素活性に及ぼす効果を調べたところ抑制効果が認められた. これらの結果から, 青酸化合物を有する植物では, β-シアノアラニン合成酵素の活性が抑制されると正常な青酸代謝が阻害され, そのために組織中に青酸が蓄積するものと推測された. モモのいや地をアレロパシーの観点から見ると, 前作のモモの根に由来する生長抑制物質が後作のモモの根の青酸代謝を阻害することによって青酸が生じ,これが後作のモモの生育阻害を引き起こしていると思われた.
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