ニホングリ (Castanea crenata Sieb. et Zucc.)の柱頭の構造と花粉発芽
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概要
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1.花柱は針状で, 乳白色を呈し, その表皮細胞はクチクラ層で覆われた厚くて硬い細胞壁を持っていた.花柱先端はこの表皮細胞が途切れてくぼみ, その凹部に付着した花粉に限って花柱内への発芽が認められた.したがって, この凹部が柱頭と判断された. 花粉管は維管束で囲まれた花柱の中心部を下降して子房に侵入した.<BR>2.柱頭と判断された花柱先端凹部の直径 (内径)は, 供試した大和早生で7月中, 0.05mm前後で推移した. 一方, 花粉の直径は, 大和早生を含む供試4品種ともほとんど変わらず, 0.012~0.013mmであった.<BR>3.柱頭上における花粉の発芽, 花粉管の伸長開始は, 人工受粉区, 放任受粉区とも花柱の伸長がほぼ停止した時期から約1週間にかけて認められた. 花柱の伸長停止直前の受粉区では, その停止期前後から花粉の発芽が始まり, 花粉管が順調に伸長したが, これより早期の受粉区では花粉の発芽, あるいは, 花粉管伸長が遅れた. 放任受粉区でも, 花粉の発芽は花柱の伸長停止期から認められ, 発芽数, 花粉管伸長量はともに人工受粉区よりも勝った.<BR>4.花柱1本当たり平均花粉管数の最大値は, 花柱上部で人工受粉区が2~3本, 放任受粉区が4~5本であった. また, 花柱下部では人工受粉区が1~2本,放任受粉区が3~4本であった. 放任受粉区の中心子房では, 花柱の伸長停止9日後に子房上部に花粉管の侵入が認められ, 同11日以降その数は10~30本であった.<BR>5.人工受粉に用いた銀寄花粉の寒天培地上での発芽は花柱の突出始めから認められ, 各受粉日の発芽率は26~18%と低かったが, 受粉日による大きな違いは認められなかった.
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