ブドウ巨峰のアントシアノプラスト
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1.ACPは短時間に融合を繰り返して発達•肥大した. 融合前の二つのACPの体積の和と融合後のACPの体積はほぼ等しかった.<BR>2.Acpは液胞内に存在し, 光学顕微鏡下でも明瞭に判別できる透明な膜で覆われていた.<BR>3.ACPの十分発達した果皮組織片にエタノールを滴下すると, 数分後, ACPから液胞内にアントシアニンが漏出し始め, 透明になっていた液胞が赤色に染まった. ACPは多少拡大した後急速に縮小し, 光学顕微鏡下でその痕跡を明瞭に認めることはできなかった.<BR>4.一方, そのACPを含有する液胞もエタノール滴下後徐々に拡大したが, ACPからのアントシアニンの漏出に伴って拡大の速度が増し, ACPが壊れて消失した後まもなく液胞膜が破裂した.<BR>5.ACPの十分発達した果皮組織片にアセトンを滴下すると, ACPは崩壊•消失したが, 液胞は壊れなかった. 滴下数十分後, 再び小さなACPが多数出現し, 短時間に融合を繰り返して肥大した. その過程で液胞内のアントシアニンはACPに吸収され, 液胞は再び透明に近くなった.<BR>6.以上のことから, ACPは膜で覆われており,この膜がアントシアニンを液胞内より濃く保つ働きをしているものと推察された. また, ACPの形成と融合は, 液胞内のアントシアニンをACP内に取り込むポンプの役割を果たしているものと考えられた.
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- ニホングリ(Castanea crenata Sieb.et Zucc.)の花粉管伸長と胚珠の退化
- ブドウ"巨峰"果皮におけるアントシアノプラストの分布と形成
- クリの果実構造
- ニホングリ(Castanea crenata Sieb. et Zucc.)の受精とin vitroでの胚珠の生長
- ブドウ'巨峰'果皮プロトプラストの液胞膜からのアントシアノプラストの形成と離脱
- クリの花粉発芽と花柱内糖物質
- ニホングリ (Castanea crenata Sieb. et Zucc.) の花粉管伸長と受精
- クリの花粉管伸長と胚のうの発達
- クリの胚のう発達と花粉遮断の影響
- クリの花柱の伸長と花粉発芽抑制物質
- クリの花粉発芽と花柱滲出液
- ブドウ'巨峰'の果皮着色細胞における液胞の変化とアントシアノプラスト形成
- クリの胚のう発達と胚乳および胚形成
- ブドウ'巨峰'の果皮色の変化とアントシアノプラスト
- クリの花粉発芽と花柱および胚珠抽出液の影響
- ブドウ巨峰のアントシアノプラスト
- ニホングリ (Castanea crenata Sieb. et Zucc.)の柱頭の構造と花粉発芽
- ニホングリ (Castanea crenata Sieb. et Zucc.) の花柱の伸長と受粉適期
- ニホングリ (Castanea crenta Sieb. et Zucc.) の生理的落果と胚珠の退化
- ブドウ‘巨峰’の着色とアントシアノプラストの発達
- ニホングリ (Castanea crenata Sieb. et Zucc.) の花粉管伸長と胚珠の退化
- ニホングリ (Castanea crenata Sieb. et Zucc.) の胚珠の発育について
- ブドウ巨峰果皮におけるアントシアノプラストの分布と形成