ニホングリ(Castanea crenata Sieb. et Zucc.)の受精とin vitroでの胚珠の生長
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概要
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7月中旬から8月上旬にかけて子房から胚珠を取り出し,バイアルに移植して胚珠の培養を行った.その結果,中心子房で7月19日,側子房で同22日までに採取した胚珠では置床後9月上旬までにすべての胚珠が枯死したが,中心子房で7月22日以降,側子房で同26日以降に採取した胚珠ではいずれも子房当たりほぼ1個の胚珠が9月中旬まで生存し,内部に胚の生長・肥大が認められた.中心子房,側子房とも7月22日以降,子房当たり1個の最大胚珠とその他の胚珠とで重さに違いが生じ始め,7月29日以降その差は急速に拡大した.子房内に侵入した最長花粉管は,中心子房で7月19〜22日,側子房で7月22〜26日に胚珠の珠心位置に達した.胚珠珠心の位置する区分に達した花粉管は,中心子房,側子房それぞれ7月15日と19日に認められ,中心子房では7月15〜19日にかけて,側子房では同19〜22日にかけてその数は急増し,その後は徐々に減少した.7月22日,26日,29日に採取した中心子房において,珠孔内に侵入した花粉骨を持つ胚珠は子房当たりそれぞれ5,6,5個であった.珠孔内の花粉管は7月22〜29日のいずれの子房においても一個の胚珠でのみ珠心に達していた.他の胚珠の珠孔内花粉管は珠孔内の侵入距離がおおむねそろっており,特に,7月29日のものではいずれも珠孔内の約1/2の距離で停止していた,以上のことから,子房内で一つの胚珠が受精すると,他のすでに花粉骨が侵入した胚珠では,花粉骨の伸長が停止するため,受精には至らないものと考えられた.
- 2003-11-15
著者
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