コバルト塩注射家兎における血〓トリグリセライドの代謝回転

概要

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塩化コバルトを注射して高トリグリセライド血症をおこした10匹の家兎の血漿トリグリセライドのカイネティクスを測定し, pair-fed の10匹の対照家兎と比較した。コバルト塩注射群の血漿トリグリセライドの代謝回転率は, 対照の正常家兎に比べて, 顕著に増加していたが, 脂肪組織のリポプロテェインリパーゼの活性には, 両群の間に差がみられなかった。両群の家兎についてx軸に血漿トリグリセライド濃度, y軸に代謝回転率をとり, 両群の関連をプロットすると, 漸近回帰曲線y=31.91934(1-e-0.0034788x) が得られた。コバルト塩注射群の10匹のうち9匹はこの漸近回帰曲線の95%信頼区間内にあり, 塩化コバルトによる高トリグリセライド血症は, 肝よりの血中への放出の増加によることを示している。しかし, 1匹は95%信頼区間外にあって, この例は血中よりの除去の不足が, その原因となっていることを示唆している。血漿トリグリセライド濃度とトリグリセライドの代謝回転率との間には正の相関が成立していた。血漿FFA値では, コバルト注射家兎との間に有意差はなかったが, 肝のトリグリセライド含有量はコバルト注射群の方が有意に低下していた。
日本衛生学会の論文