8 溶媒抽出
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概要
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前回に引き続き,1966〜1967年にわたる溶媒抽出法の進歩を概説する.この2か年における研究論文数は飛躍的に増大している.これは分離分析の実用的手段としての溶媒抽出法の有用性が拡張されたばかりでなく,水溶液および水と混ざり合わない非水溶媒中における化学反応の物理化学的研究,すなわち平衡論,速度論,溶質の構造,溶質と溶媒との相互作用などを究明する手段として溶媒抽出法がきわめて有力な方法となりつつあることを物語るものであろう.抽出系の分類については前回の区分をそのまま踏襲した.各抽出系の元素別各論を概観すれば分析法としての基礎的検討はほとんど完成された感があり,金属および非金属の諸材料,特に半導体,炉材料,核燃料,さらに生物学的試料への応用が多くみられる.また,比色法を併用して直接に抽出分離分析するものは従来どおり圧倒的多数を占めているが,発光,フレーム,ポーラログラブィーなどの諸方法へ応用する試みも多数報告され,特に原子吸光法に抽出液を直接供試する応用例が目だって増加してきたこともこの年間の一つの特色といえよう.元素別では従来比較的困難であったアルカリおよびアルカリ土類金属イオンの抽出についてかなり報告されるようになってきた.基礎的事項としてはこの数年間の大きな話題であった協同効果についてはその機構や抽出種の組成,付加物の構造などがほぼ解明されたと考えてよく,分後はその実用的応用が活発になるものと予想される.さらに前回では数例しかみられなかった速度論的研究が急激に増加しはじめたことも一つの特徴である.<BR>なお,記述を簡単にするために試薬類に次のような略号を用いる. acac: アセチルアセトン, BPH: N-ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミン, DBP: リン酸ジブチル, DEDTC: ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム, DOA: ジオクチルアミン, DOP: リン酸ジオクチル, HDEHP: リン酸ビス(2-エチルヘキシル),HFA: ヘキサフルオルアセチルアセトン, HMPA :ヘキサメチルホスホリルアミド,MIBK:メチルイソブチルケトン, PAN: 1-(2-ピリジルアゾ)-2-ナフトール, PAR: 4 (2-ピリジルアゾ)-レゾルシン, phen :1, 10-フェナントロリン, TBP: リン酸トリーブチル,TBPO: トリ-n-ブチルポスフィンオキシド, TFA: トリフルオルアセチルアセトン, TOA: トリオクチルアミン, TOPO: トリオクチルホスフィンオキシド.
- 社団法人 日本分析化学会の論文
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