胃癌細胞内にcarcinoembryonic antigen, alpha-fetoproteinおよびhuman chorionic gonadotropinの局在を証明しえた胃癌の1症例
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概要
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胃癌の腫瘍マーカーとしてcarcinoembryonic antigen (CEA)があげられるが,その他に, alpha-fetoprotein (AFP)やhuman chorionic gonadotropin (HCG)が胃癌患者の血中に認められることがある.最近,我々は,血中CEA, AFPおよびHCGが高値を示した胃癌症例を経験した.症例は61才,女性で,主訴は心窩部痛および全身倦怠感であつた.入院時検査では,貧血を認め,便潜血陽性であつたが,黄疸および肝機能異常は認めなかつた.腫瘍マーカーでは,血中CEAが23.0ng/ml, AFPが1200ng/mlと著明に上昇し, HCGも8.4mIU/mlと軽度上昇していた.上部消化管造影および内視鏡検査にてBorrmann3型胃癌(低分化腺癌)が認められた.原発性肝癌や肝転移巣は,肝シンチグラム・腹部CTおよび腹部エコーでは認めなかつた.手術所見でも, Borrmann3型胃癌であり,肝転移は認めなかつた.手術標本の組織像は,低分化腺癌で,絨毛性腫瘍の部位は認めなかつた,さらに,酵素抗体法にて,胃癌原発巣の胃癌細胞内にCEA, AFP, HCGの局在を認めた.以上より, CEA, AFP, HCGを産生した胃癌症例と考えられた.
著者
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勝島 慎二
大阪逓信病院第1内科
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川口 義夫
大阪逓信病院内科
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大本 潤子
大阪逓信病院第1内科
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松田 かおる
大阪逓信病院第一内科
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本田 豊彦
大阪逓信病院第一内科
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徳田 康孝
大阪逓信病院第一内科
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谷口 敏雄
大阪逓信病院第1内科
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大西 良男
大阪逓信病院第一内科
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